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夢幻
「夢幻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夢幻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
部分はいたましいほど醒《さ》めきっていた。葉子は燕《つばめ》のようにその音楽的な
夢幻界を翔《か》け上がりくぐりぬけてさまざまな事を考えていた。
屈辱、屈辱……....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
な状態で、忘れようと思うこともないではないが、寧《むし》ろ繰返し繰返し考えては、
夢幻的の興味を貪《むさぼ》って居る事が多い。そんな訣から一寸《ちょっと》物に書い....
「河口湖」より 著者:伊藤左千夫
命じた。 富士のすそ野を見るものはだれもおなじであろう、かならずみょうに隔世的
夢幻の感にうたれる。この朝予は吉田の駅をでて、とちゅう畑のあいだ森のかげに絹織の....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
えなかった。だから妾は、幼い日の故郷の印象を脳裏にかすかに刻んでいるだけで、あの
夢幻的な舞台がこの日本国中のどこにあるのやら知らないのであった。 いまにして思....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
を重ねるにつれ、だんだん現実性を備えて来た。しかし、そのうちG氏の頭の方が早くも
夢幻化して行った。彼は財力も尽きるといっしょに白痴のようになって行衛知れずになっ....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
フォーカスされて窓より入り、微妙な明るさに部屋中を充たした頃から、雛妓は何となく
夢幻の浸蝕を感じたらしく、態度にもだんだん鯱張った意識を抜いて来て、持って生れた....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
、単に自分のあこがれを満足させるにとどまって、他人にむかっては語るにも語られない
夢幻の境地である。わたしはそれを語るべき詞を知らない。 しかし、その夢の夢をは....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
かぶりし杉の柱 暗き緑の色 その奥は光も暗し スキーはとく過ぐれど 思いはのこる
夢幻の森 見よ今は スキーの下に 峠駅あり 高き屋根もつプラットホーム ....
「不思議なる空間断層」より 著者:海野十三
すると彼はまた訊ねるのだった。 「お前が最初の愛人を殺したときの光景はたいへん
夢幻的に美しく、かつまた単純なものだった。しかるに二度目に友人の妻君を殺したとき....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
もとろとろと、眠りかけの、あの草の上、樹の下に、美い色の水を見る、描いたるごとき
夢幻の境、前世か、後世か、ある処の一面の絵の景色が、彩色した影のごとくに浮んだの....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
に一|軒の人家も見えないのが現世と異っている点で、それが為めに何やら全体の景色に
夢幻に近い感じを与えました。 歩いた道程は一|里あまりでございましょうか、やが....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
りながらうろついているのである。彼らは、ありとあらゆるふしぎな信心に夢中になり、
夢幻の境に遊んだり、幻想におちいったりするし、しばしば奇怪なものを見たり、虚空に....
「「草紙洗」を描いて」より 著者:上村松園
○ わたくしの
夢幻の国、思慕の華、それはつねにこの世の芸術の極致の境にひろがっている能楽です。....
「無表情の表情」より 著者:上村松園
此処に現われている、といったような微妙な幻想にさえ引きこまれて、息もつけずにその
夢幻的な世界に魂を打ちこんでしまうのです。 私はこの能楽の至妙境は、移して私ど....
「露伴の出世咄」より 著者:内田魯庵
然として珠運と一緒に五色の雲の中に漂うているような心地がした。アレほど我を忘れて
夢幻に※するような心地のしたのはその後にない。短篇ではあるが、世界の大文学に入る....