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「夢現〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夢現の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
その時、その人面の獣が怪しく唸《うな》って、頭《かしら》を上げたのを眺めますと、夢現《ゆめうつつ》の暗《やみ》の中にも、唇ばかりが生々《なまなま》しく赤かったの....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
うと云う、色と欲とにかけた腹らしいのです。 が、お敏の身になって見れば、いかに夢現《ゆめうつつ》の中で云う事にしろ、お島婆さんが悪事を働くのは、全く自分の云い....
或る女」より 著者:有島武郎
最後にはきっと倉地の姿が現われ出た。 それが葉子をいらいらさせて、葉子は始めて夢現《ゆめうつつ》の境からほんとうに目ざめて、うるさいものでも払いのけるように、....
或る女」より 著者:有島武郎
にあてがわれた貞世は、今にも絶え入るかと危ぶまれるような荒い息気《いき》づかいで夢現《ゆめうつつ》の間をさまようらしく、聞きとれない囈言《うわごと》を時々口走り....
外科室」より 著者:泉鏡花
お》らんでもいい、よしてください」 聞くがごとくんば、伯爵夫人は、意中の秘密を夢現《ゆめうつつ》の間に人に呟《つぶや》かんことを恐れて、死をもてこれを守ろうと....
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
。今度のは男だから親父が一人で悦んでるよ」 「一昨年来た時には、君も新婚当時で、夢現《ゆめうつつ》という時代であったが、子供二人持っての夫婦は又別種の趣があろう....
追憶」より 著者:芥川竜之介
さんが水桶の水を水甕の中へぶちまける姿を覚えている。そう言えばこの「水屋さん」も夢現の境に現われてくる幽霊の中の一人だった。 一七 幼稚園 僕は幼稚....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、そのいじらしさ。 眼を閉じたが、しばらくして、 「恐るべきです、恐るべきだ。夢現の貴女には、悪獣の体に見えましたでありましょう。私の心は獣でした。夫人、懺悔....
おとずれ」より 著者:国木田独歩
疲れ、身の疲れを一時に覚えて底なき穴に落ちゆく心地し、しばしは何事をも忘れたり。夢現の境を漂うて夜のふくるをも知らざりしが、ふと心づきて急に床に入りたれど今は心....
わかれ」より 著者:国木田独歩
等しく、悲風|惨雨ならび至り、力なく光なく望みなし。身も魂も疲れに疲れて、いつか夢現の境に入りぬ。 林あり。流れあり。梢よりは音せぬほどの風に誘われて木の葉落....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
藤です。もう大丈夫ですから、御安心なさい。さあ、早く逃げましょう」 妙子はまだ夢現のように、弱々しい声を出しました。 「計略は駄目だったわ。つい私が眠ってしま....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
また次の夜も同じように見ます。こうして一週間もたつと、制作のヒントが具体的にこの夢現の中に得られるのが度々でございます。 「今夜は早く寝ましょう」と人にもいって....
ある恋の話」より 著者:菊池寛
した。世の中に生きている、醜い男性に愛想を尽かした祖母は、何時の間にか、こうして夢現の世界の中の美しい男に対する恋を知っていたのです。私は、こうした恋を為し得る....
三枚続」より 著者:泉鏡花
。 かつて黒旋風愛吉をして、お夏の一諾を重ぜしめ、火事のあかりの水のほとりで、夢現の境に誘った希代の逸物は、制する者の無きに乗じて、何と思ったか細溝を一跨ぎに....
世間師」より 著者:小栗風葉
屋と女房とは、それから二時間ばかりも経って帰ってきたらしかったが、その時には私も夢現でよくは覚えなかった。 ところが、その翌々日の暮方万年屋はブラリと帰ってき....