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夢見心地
「夢見心地〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夢見心地の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「緑の芽」より 著者:佐左木俊郎
熱が昂《こう》じ、ひどい出血の後に、忙しい時期にお産をしたことを気にもみながら、
夢見心地のうちに死んで行ったのであった。 「俺、月給取るようになったら、毎月なん....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
うな気持だ。この船はいったいどこへ行くのか。それは僕にもわからない。未だ、まるで
夢見心地だ。船は、するする岸を離れる。この航路は、世界の誰も経験した事のない全く....
「走れメロス」より 著者:太宰治
まえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」 花嫁は、
夢見心地で首肯いた。メロスは、それから花婿の肩をたたいて、 「仕度の無いのはお互....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
人で隠れてカチュウシャの映画を毎日見に行ったものであった。当分は、カチュウシャで
夢見心地であった。石油を買いに行く道の、白い夾竹桃《きょうちくとう》の咲く広場で....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
。梅子が泣いて見あげた眼の訴うるが如く謝るが如かりしを想起す毎に細川はうっとりと
夢見心地になり狂わしきまでに恋しさの情燃えたつのである。恋、惑、そして恥辱、夢に....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
添えられ、心から驚き入ることのみ多かった故か、その日の私はいつに無く疲労を覚え、
夢見心地でやっと修行場へ引き上げたことでございました。 私の山の修行は随分長く....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
こは一体、何処だろう。氷山に、こんな立派な病室があるわけはないし……」 僕は、
夢見心地で、寝台を降りて、ふらふらと室内を歩き廻った。 窓から、朝陽がいっぱい....
「一つの愛情」より 著者:豊島与志雄
どうか私に先生のことをお想いすること許して下さいませ。それだけが私の心に仕合せな
夢見心地を与えます。 ―――― 私はたまらなくて、またお手紙致します。先生は....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
。そんなのいや。」 いきなり、美和子は美沢を突き退けると、三、四間先へ走った。
夢見心地を、つきのけられたのが、思いがけなかったので、息を弾ませながら、追いつい....
「犬を連れた奥さん」より 著者:神西清
もなく消え失せて、一分の後にはもう音さえ聞こえなかった。それはちょうど、この甘い
夢見心地、この痴れごこちを、一刻も早く断ち切ってやろうと、みんなでわざわざ申し合....
「放浪作家の冒険」より 著者:西尾正
うふうせいげつ》の境地なのであろう、と何かこう羨しげな気持で、物凄い音響の律動を
夢見心地に、他愛ない冒険譚の節々を、しばし彳《たたず》んだ儘《まま》思い起していた。 (一九三六年十二月)....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
を蹴るようにして水々しいからだを投げかけて行った。投げかけて抱かれながら、お品は
夢見心地で、闇の中を独りで遠去かって行く空の炭車を、その枠の尻にブラ下げた仄暗い....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
における、心の故郷に対する追懐であり、春の長閑《のどか》な日和《ひより》の中で、
夢見心地に聴く子守唄《こもりうた》の思い出である。そしてこの「春日夢」こそ、蕪村....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
混血児でも、こんなに落胆した気持の時では、もう何の興味でも好奇心でもありません。
夢見心地でぼんやりと私は、肉刺のできた足を引き摺っていましたが、その姿が哀れだっ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
御覧。直傍に月の光を浴びて
永遠の祠が立っている。
巫女マントオ(内にて
夢見心地に。)
馬の蹄に
神の階段が鳴る。
半神が来ると見える。
ヒロン....