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「夢路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

夢路の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
むと冷え渡って冷えは強いが、冷えればまた冷えたで相合いこたつのさし向かい、忍びの夢路の寝物語。はだのぬくみを追って急ぐ男と女の影が、影絵のように路地から路地をぬ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
と、春のよさりの灯影《ほかげ》を抱いて、ひとり寝の夢も紫色の、気のもめる安らかな夢路におちいりました。 3 朝です。 八百八町ひとわたり一円が、薄....
雪の塔」より 著者:海若藍平
降らせた雪に埋もれた 可愛い仲好い兄妹《きょうだい》は 雪のしとねに雪まくら夢路に遊ぶ雪の塔 お伽噺《とぎばなし》でおなじみの おもしろおかしい人たちと....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
といっても顔見合わせる機会が多い。お互いにそぶりに心を通わし微笑に意中を語って、夢路をたどる思いに日を過ごした。後には省作が一筋に思い詰めて危険をも犯しかねない....
深夜の市長」より 著者:海野十三
が、途端に呀ッと仰天した。 「……マスミだッ。……」 海坊主の横手にすやすやと夢路を辿っているのは、意外にも彼のモガ崩れのマスミだった。僕はただ訳も分らず、無....
賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
更に及んだが、折柄、時鳥の鳴くのをお市の方聞いて、 さらぬだに打寝る程も夏の夜の夢路をさそふ郭公かな と詠ずれば、勝家もまた、 夏の夜の夢路はかなき跡の名を雲....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
底の古御堂の狐格子の奥深く点れたもののごとく、思われた……か思ったのか、それとも夢路を辿る峠から覗く景色か、つい他愛がなくなる。 処を、前に言った、(奥さん)....
河霧」より 著者:国木田独歩
自分の生まれた家に行くことができない。 かれは恐る恐るそこらをぶらつき初めた。夢路を歩む心地で古い記憶の端々をたどりはじめた。なるほど、様子が変わった。 し....
」より 著者:国木田独歩
に壮年の人よりこの涙を誘うもののうちにても、天外にそびゆる高峰の雪の淡々しく恋の夢路を俤に写したらんごときに若くものあらじ。 詩人は声はり上げて『わが心高原に....
わかれ」より 著者:国木田独歩
つ音雨のごとし。かれは静かに身を起こし、しばらく流れをみつめてありしが、心はなお夢路をたどれるがごとく、まなざしは遠き物をながむるさまなり。外套のポッケットに差....
明日」より 著者:井上紅梅
ガランドウの中を通過するそれがハッキリ聞こえた。 單四嫂子は遂にうつらうつらと夢路に入った。室内は全く森閑とした。 この時、隣の赤鼻の小唄がちょうど終りを告....
人工心臓」より 著者:小酒井不木
、恐ろしい不安はすっかりなくなってしまいました。そうして、いつの間にか、心地よい夢路を辿って居りました。あなたはモルヒネを摂った経験がおありですか。又、『オピア....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
ろうかと思われた。九時、石造の堅き寝台に横たわった、が昼の労れで、ついうとうとと夢路を辿る。 十六日前四時、目をこすりながら屋外に這い出して、東方を見ると、今....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
れがちょうど私の身体の雪を払うようになって居るのです。フッと現に帰りましたがまだ夢路を辿って居るような心地で、こりゃ奇態だという感覚が起った。その中に羊は自分の....
五重塔」より 著者:幸田露伴
れば愍然ともこそ照覧あれと、おもいしことやら思わざりしや十兵衛自身も半分知らで、夢路をいつの間にかたどりし、七蔵にさえどこでか分れて、ここは、おお、それ、その塔....