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夥多
「夥多〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夥多の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
る時は、平家の大軍を走らした水鳥ほどの羽音を立てて、畷行き、畔行くものを驚かす、
夥多しい群団をなす。鳴子も引板も、半ば――これがための備だと思う。むかしのもの語....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
簪の下になって、脊が低い。渾名を鮹と云って、ちょんぼりと目の丸い、額に見上げ皺の
夥多しい婦で、主税が玄関に居た頃勤めた女中どん。 心懸けの好い、実体もので、身....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
に送出す時、磯に倒れて悲しもうが、新しい白壁、艶ある甍を、山際の月に照らさして、
夥多の奴婢に取巻かせて、近頃呼入れた、若い妾に介抱されていたではないのか。なぜ、....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
たその七日七晩めに、町のもう一つの大河が可恐い洪水した。七の数が累なって、人死も
夥多しかった。伝説じみるが事実である。が、その時さえこの川は、常夏の花に紅の口を....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
のはじめの、空は晴れつつ、熱い雲のみ往来して、田に立つ人の影もない。稲も、畠も、
夥多しい洪水のあとである。 道を切って、街道を横に瀬をつくる、流に迷って、根こ....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
である。 中にも、こども服のノーテイ少女、モダン仕立ノーテイ少年の、跋扈跳梁は
夥多しい。…… おなじ少年が、しばらくの間に、一度は膝を跨ぎ、一度は脇腹を小突....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
しい看板を見た。 血だらけ、白粉だらけ、手足、顔だらけ。刺戟の強い色を競った、
夥多の看板の中にも、そのくらい目を引いたのは無かったと思う。 続き、上下におよ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
。 天守の千畳敷へ打込んだ、関東勢の大砲が炎を吐いて転がる中に、淀君をはじめ、
夥多の美人の、練衣、紅の袴が寸断々々に、城と一所に滅ぶる景色が、目に見える。……....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
やがて栗は、その椎の木も、栗の木も、背戸の奥深く真暗な大藪の多数の蛇と、南瓜畑の
夥多しい蝦蟇と、相戦う衝に当る、地境の悪所にあって、お滝の夜叉さえ辟易する。……....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
に描かれたる。この住居は狭かりけれど、奥と店との間に一の池ありて、金魚、緋鯉など
夥多養いぬ。誰が飼いはじめしともなく古くより持ち伝えたるなり。近隣の人は皆年久し....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
氏の後胤か、北畠殿の落武者か、お杉お玉の親類の筈を、思いもかけぬ上客一|人、引手
夥多の彼処を抜けて、目の寄る前途へ行き抜けもせず、立寄ってくれたので、国主に見出....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
が煙のように消えて了うのでした。当時の習慣でございますから、むろん命の御身辺には
夥多の妃達がとりまいて居られました。それ等の中には橘姫よりも遥かに家柄の高いお方....
「多神教」より 著者:泉鏡花
けほうほう。ほうほう。ほうほう」―― 神職 言語道断、ただ事でない、一方ならぬ、
夥多しい怪異じゃ。したたかな邪気じゃ。何が、おのれ、何が、ほうほう…… (再び太....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
とよりで、土地のものは瀬に馴れて、勘で渉るから埒が明く。勿論、深くはない、が底に
夥多しく藻が茂って、これに足を搦まれて時々旅人が溺れるので。――可心は馬を雇って....
「活人形」より 著者:泉鏡花
て遠山の麓に靄薄く、見ゆる限りの野も山も海も夕陽の茜に染みて、遠近の森の梢に並ぶ
夥多寺院の甍は眩く輝きぬ。処は相州東鎌倉雪の下村……番地の家は、昔|何某とかやい....