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大っぴら
「大っぴら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
大っぴらの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
たように目の下の海をながめていたが、のがれる術《すべ》のないのを覚《さと》って、
大っぴらにハンケチをズボンのポケットから出して目をぬぐった。そして少し恨むような....
「或る女」より 著者:有島武郎
あわてるがものはないと思っとったんだ。どうせいつかは知れる事だ。知れるほどなら、
大っぴらで早いがいいくらいのものだ。近いうちに会社のほうは首になろうが、おれは、....
「ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
、誰かに咎められはしないかというようなうしろめたさを感じた。なぜなら、その路へは
大っぴらに通りすがりの家が窓を開いているのだった。そのなかには肌脱ぎになった人が....
「のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
で吉田は一時に狼狽《ろうばい》してしまった。吉田は何よりも自分の病気がそんなにも
大っぴらに話されるほど人々に知られているのかと思うと今|更《さら》のように驚かな....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
いだなとすぐににらみをつけたんだ。水稼業は何をしているといったんだよ。おそらく、
大っぴらに会われねえ商売だと思うが、違うかい」 「そ、そ、そうなんですよ。深川の....
「フランダースの犬」より 著者:菊池寛
全く途方にくれてしまいました。 粉挽屋の主人は、翌日になっても、近所の人の前で
大っぴらにこの言葉を口にしました。すると中には、ネルロがその夜、別に用もないのに....
「盗まれた手紙」より 著者:佐々木直次郎
ご自分の手紙を取りもどす必要を、日ごとに痛切に感じておられる。だが、これはむろん
大っぴらにやるわけにはゆかない。とうとう思いあまって、事をわたしにおまかせになっ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
な、落着いた言葉に耳をそばだてたが、何を言っているのかは、少しもわからなかった。
大っぴらな売立が始ったのは、それから間もなくであった。 ある日、朝早くから、洋....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
るためには、かれら二人と戦うつもりでいた。 その日からうちじゅうの者は残らず、
大っぴらでわたしに対して憎悪を見せ始めた。祖父はわたしがそばに寄ると、腹立たしそ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
を払っていたのである。 権田原先生が何よりも気がかりだったのは、次郎の顔から、
大っぴらな笑いと怒りとが、次第にその影をひそめて行くことであった。笑うには笑って....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
うに。」 大沢は、少し眼を伏せて考えこんだ。 「なるほど、五年全体の名において
大っぴらにそれがやれなくなれば、形式としては前よりはよくなるわけだ。しかし、実質....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
が相変らず笑くぼを見せたまま、無表情だった。 次郎が二階からおりて来た。今度は
大っぴらに階段からおりて来たのだった。彼はその場の光景を解しかねたように立ったま....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
て、 「今日、ぼくたちの班で話しあってみたかぎりでは、あの連中の生活には、自然で
大っぴらな楽しみというものがまるでないらしいんです。やるべき時に、しっかりやりさ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
「どうしてあの和歌を知っているのであろう。それにどうしてあのような和歌を、ああも
大っぴらに喋舌るのであろう? うっかり口に出すとあぶない和歌だ。それにさ、あの和....
「競馬」より 著者:犬田卯
行って来るぜ……なんて
大っぴらに出かけるには、彼はあまりに女房に気兼ねし過ぎていた。それでなくてさえ昨....