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大まか
「大まか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
大まかの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
体に揺られながら自分のような平凡に過した半生の中にも二十年となれば何かその中に、
大まかに脈をうつものが気付かれるような気のするのを感じていた。それはたいして縁も....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
大溝の水は増したが、溢れるほどでもなく、ふだんのせせらぎはなみなみと充ちた水勢に
大まかな流れとなって、かえって間が抜けていた。 「これなら、大したことはない」 ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
自然の質そのものだけの持つ謙遜な滋味が片れを口の中へ入れる度びに脆く柔く溶けた。
大まかな菜根の匂いがする。それは案外、甘いものであった。 「成程なア」 彼は、....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
がその時期にあって、女の容姿にも一つタイプを作った。江戸前のきりりとして、しかも
大まかな女形男優顔の女が、前髪を額に垂らしたり、束髪に網をかけたりしていた。そし....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
される道具を船に残して、大運搬船に乘り込ませられたのであった。上げて来る潮で波が
大まかにうねりを打って、船渠の後方に沈みかけた夕陽が、殆ど水平に横顔に照りつける....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
た。」 更に応ずるものがなかったのである。 一体、山代の温泉のこの近江屋は、
大まかで、もの事おっとりして、いま式に余り商売にあせらない旅館だと聞いて、甚だ嬉....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
くる警官の群を翻弄して見せて得意になっておりました。みんなは、その稚気を、かなり
大まかな心持ちで、笑話の種にしていました。 が、彼は大真面目でした。彼は「警察....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
、――女房は鋳掛屋の話に引かれて、二階の座に加わっていたのである。 「そのかわり
大まかなものだよ。店の客人が、飲さしの二合|壜と、もう一本、棚より引攫って、こい....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
若い人が、ずかずか入って、寝ている人間の、裾だって枕許だって、構やしません。
大まかに掻捜して、御飯、お香こう、お茶の土瓶まで……目刺を串ごと。旧の盆過ぎで、....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
ろ伯林のよりも効果的だと考えられるのである。日本で想像して居たより独逸人の技巧は
大まかだ。影か、骨か、何かが一けた足りなくて、あの徒らに高い北欧の青空の下に何処....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
かなか大きく、広く、そして複雑で、とてもそのすべてを語りつくすことはできぬ。ごく
大まかに言ったら、人間の世界で天然現象と称えて居るものは、悉く竜神の受持であると....
「雑文的雑文」より 著者:伊丹万作
ひかない問題である。それよりもむしろ信州側から登つたとか飛騨側から登つたとかいう
大まかな問題のほうがおもしろい。 我々はたとえてみれば一つの岩の取りつき方を研....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
はあるまい。ボールタス・ヴァン・タッセル老人は、裕福な、何ひとつ不足のない、心の
大まかな農夫の見ごとな標本だった。じっさい、彼は自分の農場の境界よりそとのことに....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
八犬伝』中最も拙陋を極めている。一体馬琴は史筆|椽大を以て称されているが、やはり
大まかな荒っぽい軍記物よりは情緒細やかな人情物に長じておる。線の太い歴史物よりは....
「簡潔の美」より 著者:上村松園
。 ここにも至れり尽くされた馴致と洗練とがあらわれていると思います。 能楽は
大まかですが、またこれほど微細に入ったものはないと思います。 つまり、道具の調....