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「大傘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

大傘の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
辺に疎になって、薬師の御堂の境内のみ、その中空も汗するばかり、油煙が低く、露店の大傘を圧している。 会釈をしてわずかに擡げた、主税の顔を、その威のある目で屹と....
名娼満月」より 著者:夢野久作
まめかしく、ゆらりゆらりと六法を踏んで来る満月花魁の道中姿。うしろから翳しかけた大傘の紋処はいわずと知れた金丸長者の抱茗荷と知る人ぞ知る。鼈甲ずくめの櫛、簪に後....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
眼も心も幾らか疲労を覚えた頃、ふと見ると、緑青を砕いたような松原の樹蔭に、朱塗の大傘を立てて、その下を小ぢんまりと蘆垣で囲っているのがあった。主人は五十ばかりの....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
空を拝した。 時に、宮奴の装した白丁の下男が一人、露店の飴屋が張りそうな、渋の大傘を畳んで肩にかついだのが、法壇の根に顕れた。――これは怪しからず、天津乙女の....
小説 円朝」より 著者:正岡容
圓朝打倒の急先鋒だった。日頃、ひそかに圓朝の盛名を妬んでいた連中も、しめたとこの大傘下へ集まってきて気勢を上げた。そこへ持ってきて当の三遊派の家元で圓朝取り立て....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
商人に五種あって、これを小物、三寸、転び、ぼく、引張《ひっぱり》とする。小物とは大傘を拡げかけてその下で駄菓子飴細工の類を売る者、三寸とは組立屋台を引いて来て帰....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
即ち私の師匠である方は、そのチー・リンボチェの法服を着けて法王と共に天蓋付の絹の大傘の下にしずしずと歩んで来られたが、この方が出られた時分には先のネーチュンなる....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
物貨をいただき、前に前垂れをしめて来往す。そのありさまもまた東洋に同じ。露店には大傘を立てかけ、その下に果物、食品等を販売するも、また東洋式なり。要するに、その....