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大儀
「大儀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
大儀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
子である。男は妻の顔を見たまま、無遠慮に大きい欠伸《あくび》をした。それからさも
大儀《たいぎ》そうに、ハムモックの上へ体を起した。
「郵便よ、あなた。」
敏子....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
るとこれを御覧になった若殿様は、欠伸《あくび》まじりに御笑いになって、
「おお、
大儀。
大儀。それで予の腹も一先《ひとまず》癒えたと申すものじゃ。が、とてもの事に....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
がすまないような心もちになった。お律はしばらく黙っていてから、
「あのね」とさも
大儀《たいぎ》そうに云った。
洋一はただ頷《うなず》いて見せた。その間も母の熱....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
けの、勇気が出ずにいたのである。
下人は、大きな嚔《くさめ》をして、それから、
大儀《たいぎ》そうに立上った。夕冷えのする京都は、もう火桶《ひおけ》が欲しいほど....
「路上」より 著者:芥川竜之介
と机の上の灰皿《はいざら》に、二三本吸いさしの金口《きんぐち》がたまった時、まず
大儀そうに梯子段を登る音がして、それから誰か唐紙《からかみ》の向うへ立止ったけは....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
プをポケットへしまいながら、眼で本間さんに「来給え」と云う合図《あいず》をして、
大儀そうに立ち上った。こうなっては、本間さんもとにかく一しょに、立たざるを得ない....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
将はちょいと頷《うなず》いた後《のち》、濃いハヴァナの煙を吐いた。それからやっと
大儀《たいぎ》そうに、肝腎《かんじん》の用向きを話し始めた。
「この壁にある画《....
「或る女」より 著者:有島武郎
にあとの理由を巧みに倉地に告げようと思った。
「きょうは雨になったで出かけるのが
大儀《たいぎ》だ。昼には湯豆腐でもやって寝てくれようか」
そういって早くも倉地....
「星座」より 著者:有島武郎
溜息が出た。古い紙屑の上に新しい紙屑がぼろぼろと白く重なっていった。清逸はやがて
大儀そうにその上をまた落葉で掩《おお》うて立ち上った。そして何んということもなく....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
事よ、苛れてはようない、ようないぞの。まあ、休んでござらんか、よ。主あどんなにか
大儀じゃろうのう。」 「ちっと休まいて貰いたいがの、」 菅子と早瀬の居るのを見....
「海異記」より 著者:泉鏡花
を知ったらしく、今、報謝をしようと嬰児を片手に、掌を差出したのを見も迎えないで、
大儀らしく、かッたるそうに頭を下に垂れたまま、緩く二ツばかり頭を掉ったが、さも横....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、術をするわと、仰天したので、手を留めて済まなんだ。さあ、立直して舞うて下さい。
大儀じゃろうが一さし頼む。私も久ぶりで可懐しい、御身の姿で、若師匠の御意を得よう....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ュウシャというものがいるのをつかまえて、からかって居る。 「一銭おくれ」と馬鹿は
大儀そうな声でいった。「ふうむ薪でも割ってくれれば好いけれど、手前にはそれも出来....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、といった、私の唇の動くのを、熟と視めていたッけがね。 その顔を上げているのが
大儀そうに、またがッくり俯向くと、白髪の中から耳の上へ、長く、干からびた腕を出し....
「初雪」より 著者:秋田滋
ちどまって散歩をしている人たちを眺めていたが、やがて微かな笑みを洩すと、いかにも
大儀そうに、海のほうに向けて据えてある空いたベンチのところまで歩いて行った。ほん....