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大写し
「大写し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
大写しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
しめした手ぬぐいを顔に押し当てた瞬間に、つぶった眼の前に忽然と昼間見た活動女優の
大写しの顔が現われた、と思うとふっと消えた。 アメリカは人皆踊る牡丹かな(昭和五....
「映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
乱のあらしの中に、時々瞬間的に映出される白馬のたてがみを炎のように振り乱した顔の
大写しは「怒り」の象徴としてかなりに強い効果をもっていたようである。 「西部戦線....
「生ける人形」より 著者:寺田寅彦
一つにはまた観客と人形との距離からも起こってくる。これと反対の場合は映画における
大写し、いわゆるクローズアップの場合である。この技術によって観客の目は対象物の直....
「映画芸術」より 著者:寺田寅彦
で、塹壕のそばの焦土の上に羽を休めた一羽の蝶を捕えようとする可憐なパウルの右手の
大写しが現われる。たちまち、ピシンと鞭ではたくような銃声が響く。パウルの手は瞬時....
「映画雑感(Ⅱ)」より 著者:寺田寅彦
で思い出すのは、いつかウーファの教育映画で本物の生きた「ひとで」のきわめて鮮明な
大写しを見た、その「科学的なひとで」のほうにかえってはるかに美しく真実な詩があっ....
「映画雑感(Ⅲ)」より 著者:寺田寅彦
ように思われる。同じようにこの呼吸のうまい他の一例は、停車場の駅長かなんかの顔の
大写しがちょっと現われる場面である。実になんでもないことだが、あすこの前後の時間....
「映画雑感(Ⅳ)」より 著者:寺田寅彦
ろの新趣向を提供して観客の興味を新たにしようと努力した跡がうかがわれる。たとえば
大写しのヒロインの目の瞳孔の深い深い奥底からヒロイン自身が風船のように浮かび上が....
「天馬」より 著者:金史良
している桃の枝が今の自分の姿とも思われるのだ。すると昨夜の花売り百姓の哀れな像が
大写しで現われ、それが両手を振りながら絶望的に喚いている声が聞えて来る。 「どう....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
入った、すると蛙の心臓へアルコールを灌ぐ実写が写し出されたのであった、蛙の心臓が
大写しになるのだ、ピクリピクリと動いている、ああ動いているなと思う瞬間、アルコー....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
すてがたい味を持っている。その混雑は私にとって不愉快だが、私の頭の上に他人の尻の
大写しが重ねられたりする事も風情ある出来事である。そしてそれらは西洋人にはちょっ....
「耳と目」より 著者:寺田寅彦
少しちがった方向と距離とにあってもたいして苦にならない。しかし物を言っている顔の
大写しなどの場合には、この耳と目との空間知覚の齟齬が多少は起こるかもしれない。こ....
「教育映画について」より 著者:寺田寅彦
された形において観察することが出来るのである。あの大きな口の中の造作でも、それが
大写しになってそれだけになって現われるときに始めて吾々は十分な注意をそれに集中す....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
してから、ダーネーを誘って二人で近くの飲食店へ行く。その二人の人物の対話の場面の
大写し。ダーネーが去ってからのカートンの鏡に映る姿に向っての独白。それから酔って....
「中毒」より 著者:織田作之助
にしては余りに声も大きく、言葉も明瞭に、断末魔の科白をいやという程喋ったあげく、
大写しの中で死んで行く主演俳優の死の姿よりも、大部屋連中が扮した、まるで大根でも....
「味覚馬鹿」より 著者:北大路魯山人
ると、食欲減退である。それに料理研究家が揃いも揃って爺さん婆さんなので、テレビで
大写しにされる手が、これまた揃いも揃って薄汚い。料理はもともと理を料ると書く通り....