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大原女
「大原女〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
大原女の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
縫《ぬ》うて、暗き陰に走る一条《ひとすじ》の路に、爪上《つまあが》りなる向うから
大原女《おはらめ》が来る。牛が来る。京の春は牛の尿《いばり》の尽きざるほどに、長....
「先生への通信」より 著者:寺田寅彦
ところの山腹にはオリーブの実が熟して、その下には羊の群れが遊んでいます。山路で、
大原女のように頭の上へ枯れ枝と蝙蝠傘を一度に束ねたのを載っけて、靴下をあみながら....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ずねて―― 「姉や、この屋敷はいったい、どなたのお屋敷なんだエ」 そうすると、
大原女《おはらめ》が答えて言うには、 「岩倉三位《いわくらさんみ》さんのお邸《や....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
に訛ってこう言ったものだと伝えられている。これは藩地でもこの地に限る風習で、かの
大原女が柴を頂いているように、魚を入れた桶を頂いている姿といい、またその売声とい....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
遺作展があって偶然見たことを書いたでしょうか……土田麦遷という男が展覧会の大きな
大原女などで試みて居たものが、そこにあった花鳥小品にはちっとも徹底していないで、....
「田舎がえり」より 著者:林芙美子
処はどんな処なのだろう。羅生門《らしょうもん》と云う芝居を見ると、頭に花を戴いた
大原女《おはらめ》が、わたしは一条大宮から八瀬《やせ》へ帰るものでござりますると....
「恩人」より 著者:豊島与志雄
《きよみず》の茶店を守っている八十幾歳の老婆の昔語りや、円山公園の夜桜、それから
大原女《おはらめ》の話、また嵯峨野の奥の古刹から、進んでは僧庵や尼僧の生活まで。....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
を加えて、軽い藍色の水が、処々の川瀬にせかれて、淙々の響を揚げた。 黒木を売る
大原女の暢びやかな声までが春らしい心を唆った。江戸へ下る西国大名の行列が、毎日の....
「土田さんの芸術」より 著者:上村松園
れたという事だった。 土田さんは昔から写生を重んじていられた人だった。舞妓でも
大原女でも充分に写生に写生を重ねられた。そして絵に仕上がったのを見ると写生の儘で....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
より脛巾、足袋、藁沓などは申すに及びません。これが野良で働く出立であります。京の
大原女は名が響きますが、御明神の風俗はそれにも増して鮮かなものであります。いたず....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
で、話し声が聞える。
岩の蔭から振向いてみると、通りかかった里の女房であろう、
大原女のような山袴を穿き、髪は無造作に油けもなく束ねて肩へ垂げている。
「なあ、....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
来ているふたりの侍も、しきりと、そこから見える四|明ヶ|岳や、向うの河添いをゆく
大原女の群れなどを珍しそうに見廻していた。 ふたりは、昨日京へ着いたばかりの、....