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「大寒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

大寒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
得ることは出来ない。もしそれでも得られるとすれば、炎天に炭火を擁《よう》したり、大寒に団扇《うちわ》を揮《ふる》ったりする痩《や》せ我慢の幸福ばかりである。 ....
チャンス」より 著者:太宰治
いって、その翌年の二月のはじめ頃だったのではなかったかしら、とにかく冬の、しかも大寒《だいかん》の頃の筈である。どうしても大寒の頃でなければならぬわけがあるのだ....
電気看板の神経」より 著者:海野十三
るうちに、突如として大惨劇の黒雲が、この家の上に舞い下った。それは月も氷るという大寒が、ミシミシと音をたてて廂の上を渡ってゆく二月のはじめの夜中の出来ごとだった....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
の中に仏陀を認めようと努めた結果、偶像破壊主義者になったものさえある。丹霞和尚は大寒の日に木仏を取ってこれを焚いたという話がある。かたわらにいた人は非常に恐れて....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
講中も入り込んで来ない、今は谷もさびしい、それでも正月十五日より二月十五日に至る大寒の季節をしのいでの寒詣でに続いて、ぽつぽつ祈願をこめに来る参詣者が絶えない、....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
たいです。是非一つ思う存分に作らせて下さい」 と云うので間もなく、昭和九年春の大寒中、古賀氏住宅附近の空屋に泊り込み、寝食を忘れて製作に熱中し出した。 そう....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
して殊に寒気には閉口する。幸に去年からそれを凌いで来て、これからは、いわゆる小寒大寒を凌がねばならぬ。果して凌げるかどうかは神ならぬ私は全く知らないのである。 ....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
面会にゆき給仕になった。もう、父母は唖然としたまま私に何らの口出しをしなかった。大寒の最中であった。よれよれの紺の上衣を着、ほこりっぽいズボンをはいた私の青い皮....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
めて高かったので、彼は牛小屋のうちに一つの部屋を板で仕切らせることを思いついた。大寒の宵などを彼がすごしたのはそこであった。彼はそれを冬の座敷と呼んでいた。 ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
《たたみねだい》の上に寝かされ、許されてるものはただ厚さ二寸のふとんだけで、室は大寒の候にだけしかあたためられていなかった。恐ろしい赤い獄衣を着ていた。ただ恩典....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
、すなわち古い聖燭節の日であった。このちょっと姿を現わした太陽は、やがて六週間の大寒を示すものであって、あのマティユー・レンスベルグが次の古典的な二行の句を得た....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
チョンを箱からだして、愛玩して、脚を一本落してしまった。スイッチョンは無事越年し大寒を元気よく迎えながら、これがもとで死んでしまった。悲しいかな。 外国映画を....
老狸伝」より 著者:佐藤垢石
大寒に入って間もない頃、越後国岩船郡村上町の友人から、野狸の肉と、月の輪熊の肉が....
神様の布団」より 著者:下村千秋
た。言うまでもなく、家賃などを支払っているどころではありません。 それは冬でも大寒といういちばん寒い季節でした。この季節になると、この地方は、大人の丈ほどの雪....
」より 著者:永井荷風
知らず、出入の鳶の者に夜廻《よまわ》りをさせるようにした。乳母の懐に抱かれて寝る大寒の夜《よ》な夜《よ》な、私は夜廻の拍子木《ひょうしぎ》の、如何に鋭く、如何に....