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大幅
「大幅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
大幅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
朝日の光は、その肉附きの豊かな肩へ、――派手《はで》な大島の羽織の肩へ、はっきり
大幅に流れている。それがやや俯向《うつむ》きになった、血色の好《い》い頬に反射し....
「路上」より 著者:芥川竜之介
くはただあたりの机を睨《ね》めつけたように物色していたが、やがて向うの窓を洩れる
大幅《おおはば》な薄日《うすび》の光の中に、余念なく書物をはぐっている俊助の姿が....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
論不審です。現に二三度は往来へ立ち止まって、近くの飾窓《ショウウインドウ》から、
大幅の光がさす中に、しっきりなく飛びまわる紙屑を、じっと透かして見た事もありまし....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
たしたいことがござる」 稲川の屋敷には狩野探幽斎《かのうたんゆうさい》が描いた
大幅の一軸がある。それは鬼の図で、屋敷では殆ど一種の宝物として秘蔵していたのであ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
荒木|頼母の伜千之丞は、伝兵衛の推挙で先ごろ千倉屋へたずねて来て、澹山に西王母の
大幅を頼んで行った。その揮毫がなかなかはかどらないので、五、六日前にも千之丞はそ....
「妖術」より 著者:泉鏡花
と音のするばかり、一面の薄墨へ、色を飛ばした男女の姿。 風立つ中を群って、颯と
大幅に境内から、広小路へ散りかかる。 きちがい日和の俄雨に、風より群集が狂うの....
「海異記」より 著者:泉鏡花
に、と理右衛門爺さま。直さそこに、すくすくと山の形さあらわれて、暗の中|突貫いて
大幅な樹の枝が、※のあいだに揺ぶれてな、帆柱さ突立って、波の上を泳いでるだ。 ....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
気の天地だ。荒川放水路が北方から東南へ向けまず二筋になり、葛西川橋の下から一本の
大幅の動きとなって、河口を海へ融かしている。 「何という判らない陽気だろう」 ....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
縺れつ縺れつゆらめき出た。ゆらめき離れてはまた開く。大きさは両手の拇指と人差指で
大幅に一囲みして形容する白|牡丹ほどもあろうか。それが一つの金魚であった。その白....
「河明り」より 著者:岡本かの子
お叩頭をした。 怠惰なエンジンの音が聞えて、機船は河心へ出た。河と云いながら、
大幅な両岸は遠く水平線に退いて、照りつける陽の下に林影だけ一抹の金の塗粉のように....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
、あとであらためてみると、絵具皿は片端から引っくり返されて、九匹の蟹をかいてある
大幅の上には墨や朱や雌黄やいろいろの絵具を散らして、蟹が横這いをしたらしい足跡が....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
る。同じ病的な酷薄さに色づけられているような心もちがする。描写は殆谷崎潤一郎氏の
大幅な所を思わせる程達者だ。何でも平押しにぐいぐい押しつけて行く所がある。尤もそ....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
た、「孔雀明王」の幽暗な大画幅の中に語られているのではないか。高さ四尺幅三尺程の
大幅の中には、画面一杯に羽を拡げた印度孔雀に、駕し左右四つの手に、各宝珠を捧げ説....
「茶屋知らず物語」より 著者:岡本かの子
三人が入れ交り、立ち交り座敷へ現れました。いずれも水色の揃いの帷子に、しん無しの
大幅帯をしどけなく結び、小枕なしの大島田を、一筋の後れ毛もなく結い立てています。....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
は、どれもこれも立派なものばかしで、たいした金目のもののように見えた。その崋山の
大幅というのは、心地よげに大口を開けて尻尾を振上げた虎に老人が乗り、若者がひいて....