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大方は
「大方は〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
大方はの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
ことになってしまった。政夫さん、どうしたらよいでしょう。 嫂《あによめ》の話で
大方は判ったけれど、僕もどうしてよいやら殆ど途方にくれた。母はもう半気違いだ。何....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
したとも聞くが、混雑に紛れて行方を知らない。あれほど気を入れていたのであるから、
大方は例の車に乗って、雛たち、火を免れたのであろう、と思っている。 その後こう....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
ある。 白雪の飛ぶ中に、緋鯉の背、真鯉の鰭の紫は美しい。梅も松もあしらったが、
大方は樫槻の大木である。朴の樹の二|抱えばかりなのさえすっくと立つ。が、いずれも....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
一包にしたほどの、薄ら蒼い、ぶよぶよとした取留の無い影が透く。 三
大方はそれが、張出し幕の縫目を漏れて茫と座敷へ映るのであろう……と思う。欄干下の....
「地球盗難」より 著者:海野十三
めた。そのうちに、着陸の覚悟がついたものかボツボツ低空飛行にうつるものがあった。
大方は博士邸の外に着陸した。後からノロノロやってきた小型の「|空の虱」が二つ三つ....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
らでも、若い女が商いに出てまで、客の前で紙を絞るほど涙を流すのはちと情に過ぎる。
大方は目の煩いだろう。 トラホームなぞだと困る、と、その涙をとにかく内側へ深く....
「転機」より 著者:伊藤野枝
な、たくましい幹も半ばは裂けて凄ましい落雷のあとを見せ、太く延ばしたらしい枝も、
大方はもぎ去られて見るかげもない残骸を、いたましくさらしている。しかも、その一本....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
爺どのは悚然としたげな。のう、いかな事でも、明神様の知己じゃ言わしったは串戯で、
大方は、葉山あたりの誰方のか御別荘から、お忍びの方と思わしっけがの。 今|行か....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
に堆く盛りてわが袂に入れたまいしが、袖の振あきたれば、喜び勇みて走り帰る道すがら
大方は振り落して、食べむと思うに二ツ三ツよりぞ多からざりける。 継母はわずかに....
「活動写真」より 著者:淡島寒月
示を与えられたように感じたのであった。後から後からといろいろな写真を見ていると、
大方は印象を残さずに忘れてしまうのであるが、こういうトラヂエデーは、いつまでも覚....
「魚妖」より 著者:岡本綺堂
る。 ここまで話して来て、鈴木有年は一息ついた。三人の前に据えてある火鉢の炭も
大方は白い灰になっていた。 「なんでもその鰻というのは馬鹿に大きいものであったそ....
「木曽の怪物」より 著者:岡本綺堂
井沢へ赴いて、凡そ半月ばかりも此の駅に逗留していた。東京では新暦の雛の節句、梅も
大方は散尽くした頃であるが、名にし負う信濃路は二月の末から降つづく大雪で宿屋より....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
開いた。姫が何のために遁世者の兼好をたずねたのか、それは確かには判らなかったが、
大方は和歌の添削を乞いに行ったか、但しは昔物語の講釈でも聴きに行ったか、いずれに....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
なりつ。ことさらに隔りたれば窃み聴かむよしもあらざれど、渠等空駕籠は持て来たり、
大方は家よりして迎に来りしものならむを、手を空しゅうして帰るべしや。 一同が庵....
「活人形」より 著者:泉鏡花
て、壁を洩れ来る月影に四辺を屹と見渡せば、長き廊下の両側に比々として部屋並べり。
大方は雨漏に朽ち腐れて、柱ばかり参差と立ち、畳は破れ天井裂け、戸障子も無き部屋ど....