»
大桶
「大桶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
大桶の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「豚群」より 著者:黒島伝治
傭主だった。 昨年、暮れのことである。 火を入れた二番口の醤油を溜桶に汲んで
大桶《おおこが》へかついでいると、事務所から給仕が健二を呼びに来た。腕にかゝった....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
って、池の水が干ようとする。鯉も鮒も、一処へ固まって、泡を立てて弱るので、台所の
大桶へ汲み込んだ井戸の水を、はるばるとこの洗面所へ送って、橋がかりの下を潜らして....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
水泳の天才少女に仕立てるつもりの父親敬蔵は、かなり厳しい躾け方をした。水を張った
大桶の底へ小石を沈めておいて、幼い小初に銜え出さしたり、自分の背に小初を負うたま....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
骨格の馬だ。亭主は例のフスマに芋、葱のうでたのを混ぜ、ツタを加えて掻廻し、それを
大桶に入れて、馬小屋の鍵に掛けて遣った。馬はあまえて、朝飯欲しそうな顔付をした。....
「旅愁」より 著者:横光利一
邸の大きな門柱が顕れ、分乗して来た塩野たちの自動車も門に着いた。太い松の幹の傍に
大桶を置いた玄関を這入り、飛び立つ鵜図を画いた衝立を廻って、次の室へ持物を置いた....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
る様子などは大したものだね」 由「へえ何うも実に驚きました」 幸「並の醤油を造る
大桶の数が百四十五もあると云うが、近い処だけれども大きいものだね」 由「大きいた....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
を吐き出しているんだと考える人があるかも知れない。 スクルージの事務所の戸は、
大桶のような、向うの陰気な小部屋で、沢山の手紙を写している書記を見張るために開け....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
事を仕舞うと共にあの場所を立去ることは当然なのだが、それでも、あの梅の木の下は、
大桶小桶の幾つかが置きっぱなしであるのを見れば、明日もまだまだ天気である限り、頑....
「藤九郎の島」より 著者:久生十蘭
げた。元文元年の二月のことだった。 船ができたところで、渡航の準備にかかった。
大桶《おおおけ》に二年がかりで天水をとり溜め、魚は海水に漬けて空乾《からほ》しに....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
ましょう。私は今晩凍死をして自殺する決心なのでございます。私は先刻《さきほど》、
大桶に一杯のアイス・クリームを部屋に取り寄せておきました。それを皆喰べてしまいま....
「憑き物系統に関する民族的研究」より 著者:喜田貞吉
ふので、これで、法式が終る。その死んで居る僧を板に載せて、堂の後に舁いで行つて、
大桶七つ半の水を注ぎ流して、身にかけてやるとやがて蘇生する。そこで裸体のまゝ護法....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ら幹へと騒ぎが移って行きます。
籠がみしみし、小桶がことこと、担桶がきいきいと、
大桶まで漕ぎ附けます、酒絞の元気な踊まで。
そこで浄く生れた、露たっぷりな葡萄の....
「天狗」より 著者:室生犀星
ぎわを切られていた。――それ故城下の剣客は誰一人として立向うことができなかった。
大桶口、犀川口を固めている月番詰所の小役人達も、かれが通るとなるべく、彼を怒らせ....