大磐石[語句情報] » 大磐石

「大磐石〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

大磐石の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
風は終日無かった。蒸々と悪気の籠った暑さは、そこらの田舎屋を圧するようで、空気は大磐石に化したるごとく、嬰児の泣音も沈み、鶏の羽さえ羽叩くに懶げで、庇間にかけた....
雛妓」より 著者:岡本かの子
うか。わたくしはそれにも少し怖れを感じたけれども、眼の前の現実に襲って来た無形の大磐石のような圧迫にはなお恐怖を覚えて慄え上った。思わず逸作に取縋って家の中で逸....
槍ヶ岳第三回登山」より 著者:小島烏水
、存外に鈍い輪廓をした槍ヶ岳の円柱が、幾本となく縦に組み合わされた、というよりも大磐石にヒビが入って、幾本にも亀裂したように集合して、その継ぎ目は、固い乾漆の間....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
客僧、御身にも話すまいが、や、この方実は、もそっと手酷い試をやった。 あるいは大磐石を胸に落し、我その上に蹈跨って咽喉を緊め、五体に七筋の蛇を絡わし、牙ある蜥....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
と源三郎すっと座を立ち、よろめく三重の背を支えた、老の腕に女浪の袖、この後見の大磐石に、みるの緑の黒髪かけて、颯と翳すや舞扇は、銀地に、その、雲も恋人の影も立....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
しこと絶えてあらず。修容正粛ほとんど端倪すべからざるものありしなり。されど一たび大磐石の根の覆るや、小石の転ぶがごときものにあらず。三昼夜麻畑の中に蟄伏して、一....
探偵の巻」より 著者:坂口安吾
ば先生に頼めといふので、親爺の奴山のやうな捜査資料を僕のところへ担ぎこんだ。流石大磐石の先生も目を廻しさうな、大変な手紙の山だ。 渋々手紙の山を受取つて、さて....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
た足もとには、小さな入江が出来ていた。入江の上に突き出しているのが、象ヶ鼻という大磐石であった。 観世銀之丞人数をくばる 「人数は全部で五十人、このうち....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
とりの湖水の底とも覚しい辺へ急いで足を向けて行ったがそこには直径一町もあるような大磐石があるばかりで穴らしいものの影もない。ダイナマイトを取り寄せて念のため大石....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
事である。(十三日) ▲足あり、仁王の足の如し。足あり、他人の足の如し。足あり、大磐石の如し。僅に指頭を以てこの脚頭に触るれば天地震動、草木号叫。女蝸氏未だこの....
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ」より 著者:神西清
可哀そうな気がしたんですけど、今じゃあの人が羨ましくなりましたわ。あの人は、もう大磐石で、何が来たってびくともしませんものね。けれど、ねえ、ヴォローヂャ、もっと....
古事記」より 著者:太安万侶
國主の命となつてそのわたしの女《むすめ》のスセリ姫を正妻として、ウカの山の山本に大磐石《だいばんじやく》の上に宮柱を太く立て、大空に高く棟木《むなぎ》を上げて住....
釜沢行」より 著者:木暮理太郎
不思議でならなかった。下りた河床は花崗岩らしいが、しかも著しく青味を帯びた一枚の大磐石である。左右が少しく開けて、木は繁っているが明るい感じのする所だ。暗緑に沈....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
く壮であるに相違なかった。脚もとの雪渓は六、七十間の先で右から突き出した長方形の大磐石に衝き当って、左の半分は其下の深い谷底に落ち込み、右の半分はヨロヨロと山の....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
。抜足で縁を通りながら叢を通り抜け、大虎杖を薙ぎ倒して、横に長く河岸に蟠っている大磐石の背に躍り上った。折尾谷に着いたのである。午後二時三十分。振り返って今下り....