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天下泰平
「天下泰平〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
天下泰平の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
休題、南町の桐楊塾は、監督が祖母さんで、同窓が嬢たちで、更に憚る処が無いから、
天下泰平、家内安全、鳳凰は舞い次第、英吉は遊び放題。在学中も、雨桐はじめ烏金の絶....
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
どこにもいはしないのである。 映画の従業員はまったくおとなしいのである。彼らは
天下泰平の夢を見続けて、今に至るまで一つの組合さえ持たなかったのである。愚かな彼....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
らしく両親に吹聴し、親たちも一緒になって喜んでいたくらいでした。 それで済めば
天下泰平、いや、些とぐらいの騒動が起っても大丈夫であったのですが、こゝに一つの事....
「骨董」より 著者:幸田露伴
老人には老人相応のオモチャを当がって、落ついて隅の方で高慢の顔をさせて置く方が、
天下泰平の御祈祷になる。小供はセルロイドの玩器を持つ、年寄は楽焼の玩器を持つ、と....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
ごとに、女の大きなお臀を抱えながら、道々キスしいしいぶらぶらと市中を歩いている。
天下泰平だ。 九 僕がフランスに着いてからの主な仕事の一つは、毎朝、パリから出....
「東京要塞」より 著者:海野十三
鳥足の酔漢がとびこんで来た。 「うーい、いい気持だ。な、なにもいうことはねえや。
天下泰平とおいでなすったね」 取りとめもない独白のあとは、鼻にかかる何やら音頭....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
であるが、大浦博士に至っては、結婚と持参金、あたりまえときめてかゝった殿様ぶり、
天下泰平、オーヨーなものだ。 かねて自分一個の赤誠をヒレキする種則のことである....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
ったか分らないという面魂である。戦争で何万人殺したって凄みはでないが、この先生は
天下泰平の時代に人殺しを稼業にしたという凄みが具っているから怖しい。ゴリラの体格....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
もよい。俺はいつもこう思っている。北条義時に笑われまいとな。実に義時は偉い奴だ。
天下泰平のそのためには、甘んじて賊臣の汚名を受け、しかも俯仰天地付くのは愚の話だ....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
来たのはタダの話ではない。庄屋のオトトも肝をつぶすに相違ない話なのである。それは
天下泰平の山奥の村落では、おだやかならぬ話であった。 ★ ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
空の連合軍に対してはタダの人間はもはや見物するより手がないというようなアキラメと
天下泰平さ、と人類のサッソウたる退化状態がありましたな。 とにかく私にとっては....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
繁昌するし、後立てはシッカリしているし、おまけに上さんは美しいし、このまま行けば
天下泰平吉新万歳であるが、さてどうも娑婆のことはそう一から十まで註文通りには填ま....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
わず、プウッ! とふき出してしまった。 「大した勉学と地主さん喜ぶべ。円満円満、
天下泰平。」 健とちがって、前から七之助にはそういう処がある。洒落やひやかしが....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
民にも多少の愛を施す等、またわが歳末のごとし。地方の停車場などには当日に限り、「
天下泰平、武運長久、鉄道会社千秋万歳」と題示せるあり。これまた、わが国風に異なら....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
ので、一週間は常べったり貧民窟の二畳敷の間に寝込んでしまった。 しかしその間は
天下泰平であった。市会の心配をしなくってもよければ、世界の運行についても心配する....