天保銭[語句情報] » 天保銭

「天保銭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

天保銭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
の片側染めにしたもので、汗が出ると肌に染みる、引けば破れるという代物である。 「天保銭一枚がもう無くなった」というのは疾《とう》の昔の事。三人で一円持って浅草に....
雛妓」より 著者:岡本かの子
蔵はいろは四十八蔵あり、三四里の間にわが土地を踏まずには他出できなかったという。天保銭は置き剰って縄に繋いで棟々の床下に埋めた。こういう逞しい物質力を持ちながら....
浮動する地価」より 著者:黒島伝治
煎じて飲んどけい。」 彼は太平楽を並べていばっていた。 「何ぬかすぞい! 卯の天保銭めが!」 麦を踏み荒されたばかりで敷地となる田も畠もない持たない小作人は....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
の人が袖を出して、しきりに何か催促するじゃありませんか。栄吉さんもしかたなしに、天保銭を一枚その袂の中に入れてやりましたよ。」 勝重はおとなの醜い世界をのぞい....
死までを語る」より 著者:直木三十五
度、それが、維新の変乱の時で、この程度の家は、傾く一方で、私の父惣八は、とうとう天保銭を三枚もったきりで、大阪へ出奔してしまった。それから、大丸屋呉服店へ奉公し....
春昼」より 著者:泉鏡花
も言うな、と堅く口留めをされた斉之助という小児が、(父様は野良へ行って、穴のない天保銭をドシコと背負って帰らしたよ。) ……如何でござる、ははははは。」 「な....
物売りの声」より 著者:寺田寅彦
い行商の一人に頭蓋骨の異常に大きな福助のような子がいた。だれかが試みに一銭銅貨と天保銭を出して、どちらでもいいほうを取れと言ったらはっきりと天保銭を選んだという....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
しませぬで。こんな月の良い晩には、庭で鉢叩きをして見せる。……時雨れた夜さりは、天保銭一つ使賃で、豆腐を買いに行くと言う。それも旅の衆の愛嬌じゃ言うて、豪い評判....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
二 おなじ人が、金三円ばかりなり、我楽多文庫売上の暮近い集金の天保銭……世に当百ときこえた、小判形が集まったのを、引攫って、目ざす吉原、全盛の....
雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
与えるものである。 暑くなったから門内の池の傍のベンチで休んだ。ベンチに大きな天保銭の形がくっつけてある。これはいわゆる天保銭主義と称する主義の宣伝のためにこ....
傷痕の背景」より 著者:豊島与志雄
ある。 有吉の例の武勇談……そういった微笑で、親しい友人等は眼を見合った。 「天保銭」をねらわず、語学の勉強に力を入れ、外国語学校、大使館附武官、教育総監部、....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
倍家をついだ長子天鬼は親の山気を慾気の方へうけついで、強慾のケチン坊。弟の地伯に天保銭一枚わけてやるのも惜しいのである。兆久が死んで二十日ばかり経たころ、弟をよ....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
こんなに恐ろしく重かったのでしょうか?」 「さあ、そいつは解りません。だが日本の天保銭なども、随分大きくて重かったですよ。……紋章が面白いじゃアありませんか」 ....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
天保銭の出来た時代と今と比べると、なんでも大変に相違しているが、地理でも非常に変....
我楽多玩具」より 著者:岡本綺堂
う端銭を附けるのか知りませんが、二銭五厘や三銭というのは決してありませんでした。天保銭がまだ通用していた故かも知れません。うす暗いカンテラの灯の前に立って、その....