天堂[語句情報] » 天堂

「天堂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

天堂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
船医の立場」より 著者:菊池寛
られなかった。綿のように疲れて、柿崎の浜へ引っ返すほかはなかった。二人は浜辺の弁天堂で、夜が明くるをも知らずに熟睡した。 その間も、寅二郎の疥癬《しつ》は、少....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あった。山城屋の夫婦はいつまでも子のないのを悲しんで、近所の不忍《しのばず》の弁天堂に三七日《さんしちにち》のあいだ日参《にっさん》して、初めて儲けたのがお此で....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
お告げに嘘はない。これは何かのお知らせに相違あるまい」 気の早いのは松坂町の弁天堂へ駈けつけて、おうかがいを立てるのもあった。松坂町はかの吉良上野介の屋敷のあ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
暗い空には星一つみえなかった。不忍の大きな池は水あかりにぼんやりと薄く光って、弁天堂の微かな灯が見果てもない広い闇のなかに黄いろく浮かんでいた。寒そうな雁の声も....
婦系図」より 著者:泉鏡花
が、宗教、文学、美術、演劇、音楽の品定めがそこで成立つ。現代における思潮の淵源、天堂と食堂を兼備えて、薔薇薫じ星の輝く美的の会合、とあって、おしめと襷を念頭に置....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の田圃路に狐火のような提灯の影が一つぼんやりと浮き出した。丘の上に祠られてある弁天堂に夜まいりをした人であろうと思いながらも、彼はしばらく其の灯を見つめていると....
雛妓」より 著者:岡本かの子
りに銀座へでも廻って、また鼻つまりの声で友達とピカソでも論じてるのだろう」 弁天堂の梵鐘が六時を撞く間、音があまりに近いのでわたくしは両手で耳を塞いでいた。 ....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
に感じ得るものは充実せる生を開拓する大なる可能性を蔵してるということは今の私には天堂の福音のごとく響くよ。私はまだまだライフに絶望しない。冷たい傍観者ではあり得....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
堂を出て、朴歯の高足駄で、巻袖で、寒く細りと草を行く。清らかな僧であった。 「弁天堂を案内しますで。」 と車夫が言った。 向うを、墨染で一人|行く若僧の姿が....
正義の国と人生」より 著者:桐生悠々
。 「正義の国」は一名「極楽」であるのだろう。そしてまたキリスト教にいうところ「天堂」でもあるのだろう。 原始的の宗教はこの極楽または天堂を来世に、人の死後に....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
八幡社の境内までたどりついた。池の中央にはちょっとした出島がある。そこにはもと弁天堂があった。その跡が空地になっているのである。その空地でゆっくり休んだ。弁当も....
太陽系統の滅亡」より 著者:木村小舟
り、されど不可解だけに、また如何なる世界があろうやら知れない、宗教上に説く所の、天堂極楽のごときも、あるいは我が太陽系統以外の恒星界を意味するかも知れぬ、坐して....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
あるラマ、この方は確かに神通力を得て居って、地獄に行くことも出来れば極楽あるいは天堂にも行くことが出来ると社会から信用されて居る方です。あるラサ府の商人がその方....
活人形」より 著者:泉鏡花
れて亡き母の存生りし日を思い出し、下枝は涙さしぐみぬ。さはあれ業苦の浮世を遁れ、天堂に在す御傍へ行くと思えば殺さるる生命はさらさら惜からじと、下枝は少しも悪怯れ....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
る。 まあ、なんと云う可哀い手だろう。神々の手のような。 お前のお蔭でこの小屋が天堂になるのだ。 そしてここは。 (手にて寝台の帷の一ひらを搴ぐ。) ....