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「天守〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

天守の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
ある。境は、ふと奥山へ棄てられたように、里心が着いた。 一昨日松本で城を見て、天守に上って、その五層めの朝霜の高層に立って、ぞっとしたような、雲に連なる、山々....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
などは早くから取除いてあったためである。 しかし四百機の来襲で、金鯱の名古屋城天守閣も焼失した。大きな建築物の受難時代である。敵は三キロ焼夷弾を使い出した。 ....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
勤番というものは無いのですが、それでも交代に大阪の城へ詰めさせられます。大阪城の天守が雷火に焚かれたときに、そこにしまってある権現様の金の扇の馬標を無事にかつぎ....
猿飛佐助」より 著者:織田作之助
に飛んで行けと、許されたる飛行の術、使えば中仙道も一またぎ、はやなつかしい上田の天守閣、おお六文銭の旗印、あのヒラヒラとひるがえること、おお、このアバタの数ほど....
春昼」より 著者:泉鏡花
なし、と申す風情。 されば、気高いと申しても、天人神女の俤ではのうて、姫路のお天守に緋の袴で燈台の下に何やら書を繙く、それ露が滴るように婀娜なと言うて、水道の....
天守物語」より 著者:泉鏡花
時 不詳。ただし封建時代――晩秋。日没前より深更にいたる。 所 播州姫路。白鷺城の天守、第五重。 登場人物 天守夫人、富姫。(打見は二十七八)岩代国猪苗代、亀の城....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
の姿は、夕日影の峰に、雪の消残ったようであろう。少しく離れた私の兜の竜頭は、城の天守の棟に飾った黄金の鯱ほどに見えようと思う。 美女 あの、人の目に、それが、貴....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
あろう。荒海の巌礁に棲み、鱗鋭く、面顰んで、鰭が硬い。と見ると鯱に似て、彼が城の天守に金銀を鎧った諸侯なるに対して、これは赤合羽を絡った下郎が、蒼黒い魚身を、血....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
戸の燈、はっと消ゆ。 ※出る化ものの数々は、一ツ目、見越、河太郎、獺に、海坊主、天守におさかべ、化猫は赤手拭、篠田に葛の葉、野干平、古狸の腹鼓、ポコポン、ポコポ....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
一 このもの語の起った土地は、清きと、美しきと、二筋の大川、市の両端を流れ、真中央に城の天守なお高く聳え、森黒く、濠蒼く、国境の山岳は重畳として、湖を包み、海に沿い、橋....
南地心中」より 著者:泉鏡花
ら、処々、斜めに太陽の光を浴びつつ、白泡立てて渦いた、その凄かった事と云ったら。天守の千畳敷へ打込んだ、関東勢の大砲が炎を吐いて転がる中に、淀君をはじめ、夥多の....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
渡す森は、みな錦葉を含み、散残った柳の緑を、うすく紗に綾取った中に、層々たる城の天守が、遠山の雪の巓を抽いて聳える。そこから斜に濃い藍の一線を曳いて、青い空と一....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
てねんごろに養うているうちに、かれら二人の勧めにしたがって、新たに築いたのがこの天守閣じゃ。なんのためにこのような高い物を作ったかということはよく判らぬが、まず....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
を流るる川である。町の上には霧が掛った。その霧を抽いて、青天に聳えたのは昔の城の天守である。 聞け――時に、この虹の欄間に掛けならべた、押絵の有名な額がある。....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
だ。……青い、白い縞が、紅い羽もまじった。やあ嘴で目をつつく。」 銅像が、城の天守と相対して以来、美術閣上の物干を、人は、物見と風説する。……男女の礼拝、稽首....