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「天心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

天心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
尾生の信」より 著者:芥川竜之介
がら、橋の下の尾生の死骸を、やさしく海の方へ運んで行った。が、尾生の魂は、寂しい天心の月の光に、思い憧《こが》れたせいかも知れない。ひそかに死骸を抜け出すと、ほ....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
鼻の先へ来ても、相不変《あいかわらず》笛を吹き止めなかった。彼は路を譲りながら、天心に近い月を負って、相手の顔を透《す》かして見た。美しい顔、燦《きら》びやかな....
或る女」より 著者:有島武郎
我慢がしきれずに、ハンケチを口にあててきゅっきゅっとふき出してしまった。 三七天心に近くぽつりと一つ白くわき出た雲の色にも形にもそれと知られるようなたけなわな....
Kの昇天」より 著者:梶井基次郎
した。あの人は影を踏んでいる。もし落し物なら影を背にしてこちらを向いて捜すはずだ天心をややに外《はず》れた月が私の歩いて行く砂の上にも一尺ほどの影を作っていまし....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
物をやったらいいじゃないか?」 「だッて」と、またからだを振ると同時に、左の手を天心の方に行かせて、しばらく言葉を切ったが、――「こんな大きななりじゃア踊れない....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
の白銀を磨いた布目ばかりの浪もない。目の下の汀なる枯蘆に、縦横に霜を置いたのが、天心の月に咲いた青い珊瑚珠のように見えて、その中から、瑪瑙の桟に似て、長く水面を....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
ものを、醤油に水を割算段。 と釜の湯気の白けた処へ、星の凍てそうな按摩の笛。月天心の冬の町に、あたかもこれ凩を吹込む声す。 門附の兄哥は、ふと痩せた肩を抱い....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
返えすのであった。 陽気で無邪気なかの女はまた、恐ろしく思索好きだ。思索が遠い天心か、地軸にかかっている時もあり、優生学や、死後の問題でもあり、因果律や自己の....
紫大納言」より 著者:坂口安吾
思われていた。それは悲しみの川となり、からだをめぐり、流れていた。 月はすでに天心をまわり、西の山の端にかたむいていた。 無限の愛と悔いのみが、すべてであっ....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
る。それは戒律の名目によるものではない。 私は幼いころを追憶して、幼いものの先天心の権利というものを考えずにはいられない。良心と言うよりも童心、童心というより....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
に学びては、主として今堀摂津守の指南を受けていたが、其他に、麻布古川端に浪居して天心独名流から更に一派を開きたる秋岡陣風斎に愛され、一師一弟の別格稽古を受け、八....
ストリップ修学旅行」より 著者:小野佐世男
たものか。むしろ清流に遊ぶ人魚のたわむれるような心地よさが、みなぎっているのは、天心爛漫、童心にかえったあまりにも自然の姿なのであろうか。私は外分をかざり、いや....
死神」より 著者:岡崎雪声
道には、随分淋しい所もあった。しかし何しろ秋の夜の空は拭った様に晴れ渡って、月は天心に皎々と冴えているので、四隣はまるで昼間のように明るい。人の心というものは奇....
常に自然は語る」より 著者:小川未明
天心に湧く雲程、不思議なものはない。 自分は、雲を見るのが、大好きだ。そして、....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
出現にいきなり前方を塞かれて、たじたじとなるとガソリンの爆音のみ、いたずらに我が天心へ反響さして、さて停ると、ますます燥いで、浮かれて、ひっかかえたペコペコ三味....