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天恵
「天恵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
天恵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
関しても、松江はその窓と壁と露台《バルコン》とをより美しくながめしむべき大いなる
天恵――ヴェネティアをしてヴェネティアたらしむる水を有している。
松江はほとん....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
深く認識し自覚した上でこの利器を適当に利用することを学び、そうしてたださえ豊富な
天恵をいっそう有利に享有すると同時にわが国に特異な天変地異の災禍を軽減し回避する....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
じっと聴きとれたりした。一葉蘭が花と葉と、どちらもたった一つずつの、極めて乏しい
天恵の下に、それでも自分を娯しむ生活を営んでいるのを知り、社交嫌いな鷦鷯が、人一....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
予が愚なるもかかる断乎たる説を立たるを感謝す。かかる数回の厄難を重ねたるは、此れ
天恵の厚き試験たるを感悟して、老朽に尚勇あらん事を怠らざるなり。 四日、斃馬一頭....
「理想の女」より 著者:豊島与志雄
めて稀であるが、彼女は真先に糸切歯がやられたのである。彼女にとってはそれが偶然の
天恵だった。美わしい歯並の奥からぴかりと黄金色に光る糸切歯は、彼女の微笑みに云い....
「小さな山羊の記録」より 著者:坂口安吾
はテキメンにやられるのが習慣であるから、年中、四半分ぐらいずつ風邪気味に、自然の
天恵によって鼻がぬれているような体質なのではないかと思っていた。そのぬれ方のひど....
「決闘」より 著者:神西清
ですからね」と補祭はムッとしてペンを取り上げながら、「もしも同じだったらあなたは
天恵を授かって、僧正になってる筈じゃありませんか。ところであなたが僧正でないとす....
「小伜の釣り」より 著者:佐藤垢石
を見るほど、心安さはないのである。子供を育てるのは畢生の大事業だ。そして、それに
天恵の快興が伴う。 わが父も幼き私を、楢林の若葉のかげに、末たのもしく見たのか....
「瀞」より 著者:佐藤垢石
水へ入ってはならぬ。と、いった医者の言葉は、私の釣り修業にとって求めても得られぬ
天恵の戒律であると思った。 若いときから長い間、私は足を水に浸けねば友釣りをた....
「荘子」より 著者:岡本かの子
眼を瞑って深く考え沈んで居たがやがて沈痛な声の調子で云った。 「然し、それもまた
天恵に依る物化の一道程かも知れないから、致し方もあるまい。丁度わしが書物や筆を捨....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
知るまい、梅干すらない。 早川はあっても魚は少い。このように村は貧しいが、また
天恵もないではない。湯島の温泉から年々いくらかの税金も取れる、早川から冬は砂金が....
「美食七十年の体験」より 著者:北大路魯山人
終わったようだ。嘲笑に価するらしい。 しかし、ひとの世でいろいろ与えられている
天恵の中でも、命をつなぐ「食」、これをおろそかに受け取ることは相済まぬことである....
「エタ源流考」より 著者:喜田貞吉
めの仮字である以上、いかなる漢字を使用してもよいのであるから、自分は彼らの将来に
天恵多からんことを祝福して、「恵多」という文字を使用したいと思う。しかしそれは余....
「味覚の美と芸術の美」より 著者:北大路魯山人
駕して一歩も引けを取らない。それはなぜであるか。 私は地球上日本が、優れた自然
天恵を享けて成り立っているからだと思う。そして、このような地理的に秀れた環境のも....
「料理も創作である」より 著者:北大路魯山人
。それゆえ、感度の高い舌を持ち合わせているということは、天幸であり、天爵であり、
天恵である。 しかし、天分的に味覚のすぐれた人というのは、そうザラにいるという....