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天来
「天来〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
天来の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
帰朝は、そろそろ、魔境、未踏地の材料も尽きかけて心細くなっていた私にとり、じつに
天来の助け舟のようなものであった。では、それほど私を悦ばせる折竹とはいかなる人物....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
衝き当ってしまうと、法水は再び異説のために引き戻されねばならなかった。突然彼は、
天来の霊感でも受けたかのように、異常な光輝を双眼に泛べて立ち止った。
「支倉君、....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
いても意志がいかにして認識するに至りしかを説明することができないごとくにまことに
天来の恵みにも似たる認識ではないか。人間はみずからの醜き、あさましき相を認めた。....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
も常人地帯に踏みとどまるか。 「あ、――」 夫人は暗闇のなかに、一声うめいた。
天来のアイデアが、キラリと夫人の脳裏に閃いたのであった。 「あ、救われるかもしれ....
「流線間諜」より 著者:海野十三
葉を吐くのが、彼のよくない病癖だったが、それを喚き散らすと、いつの場合も反射的に
天来の霊感が浮んでくるのであった。今の場合もそうだった。 そうだもう一つの押釦....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
次第にふへて今では昔日の隆盛をとりもどしたから、コックにバーテンに接客サービス、
天来の敏腕家も手が廻りかねる。けれども夫婦共稼ぎとか、愛人をサービスにだすとか、....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
そがれの光りをあつめた紫色の霞を透して光っていた。すべてのものは彼と同じように、
天来の喜びがあらわれてきて、この貧しい地上に光明を与えるのを待っているようであっ....
「俊寛」より 著者:倉田百三
れの勝利の前祝いのように、期せずして生じたあの諧謔を! 成経 あの機知にみちた、
天来の猿楽を! 康頼 成経殿がふと狩衣の袖に引っかけて、法皇の前にあった瓶子を倒....
「人生三つの愉しみ」より 著者:坂口安吾
リギリというような眠りがとれて、眠りの空虚なものがどこにも感じられないのである。
天来の妙味という感じである。子供のころ、試験勉強などの最中にも、同じような眠りは....
「ヒトラーの健全性」より 著者:国枝史郎
いる。 それは順を追っての革新ではなくて、マリネッチなどという南欧情熱の子が、
天来の芸術的恍惚裡に於て、唐突に、直感的に創造した変質芸術ともいうべきものなので....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
あとでも、時々、瓜は市場に出た。が、今は他のものを装る器具でない。瓜はそのまま
天来の瓜である。従って名実ともに鏨は冴えた、とその道のものは云った。が惜しいかな....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
な青年詩人を思い出しました。その青年は貧しくて破れた服を着ていたけれど、ひるまず
天来の快活をもって理想を説き、盛んに議論し自らを空の雲雀や野の百合と比べました。....
「露伴の出世咄」より 著者:内田魯庵
いと内心馬鹿にしながらも二、三枚めくると、ノッケから読者を旋風に巻込むような奇想
天来に有繋の翁も磁石に吸寄せられる鉄のように喰入って巻を釈く事が出来ず、とうとう....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
要なことは、ロバアト・セシルの御愛顧にありつくということである。そしていま、この
天来の好機――これを見のがしては気ちがい沙汰だ。かつ、そればかりではない――もは....
「味を知るもの鮮し」より 著者:北大路魯山人
料などに意を用いる必要はない。 日本の山海は、美菜美魚に恵まれすぎている。この
天来の持ち味を生かすか殺すかが、料理する者の責任であり、楽しみの種でもある。その....