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「天水〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

天水の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
の商売にとりかかるのには、万事持って来いの寸法《すんぽう》です。わたしは路ばたの天水桶《てんすいおけ》の後《うしろ》に、網代《あじろ》の笠や杖を隠した上、たちま....
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
》だった。それから巻いてある日除《ひよ》けだった。それから麦酒樽《ビイルだる》の天水桶《てんすいおけ》の上に乾《ほ》し忘れたままの爪革《つまかわ》だった。それか....
僕の帽子のお話」より 著者:有島武郎
見る見る歯医者の家《うち》の前を通り過ぎて、始終僕たちをからかう小僧のいる酒屋の天水桶《てんすいおけ》に飛び乗って、そこでまたきりきり舞いをして桶のむこうに落ち....
ゆず湯」より 著者:岡本綺堂
の鬼婆と綽名《あだな》されていた。 お玉さんの家《うち》の格子のまえには古風の天水桶があった。わたし達がもしその天水桶のまわりに集まって、夏はぼうふらを探し、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
み勝ちにあるいていた。二人は町内にはいって二、三軒も通り過ぎたかと思うと、質屋の天水桶のかげから何かまっ黒な影があらわれた。それが何であるかを認める間もなしに、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
朝日のあたらない横町は鉄のように凍って、近所の子供が悪戯にほうり出した隣りの家の天水桶の氷が二寸ほども厚く見えた。 半七は白い息を噴きながら、愛宕下へ急いで行....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
云っちゃあいられません。むかしも寒中に金魚をながめていた人もあったんですよ」 「天水桶にでも飼って置いたんですか」と、わたしは訊いた。 「いや、天水桶の金魚は珍....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
子供仲間から左官屋の鬼婆と綽名されていた。 お玉さんの家の格子のまえには古風の天水桶があった。私たちがもしその天水桶のまわりに集まって、夏はぼうふらを探し、冬....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の職業に伴う一種の好奇心も手伝って、かれはそっとあと戻りしてそこらの塀の外にある天水桶のかげに身をひそめていると、今夜も暗い宵で、膝のあたりには土から沁み出して....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
ありますよ。」 「有りますか。」 「もう、二階ばかり上の高い処に、海老屋の屋根の天水|桶の雪の遠見ってのがありました。」 「聞いても飛上りたいが、お妻さん、動悸....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
く用いらるる郡望の旧例に拠り、郡名百家姓に書いてある注解通りにすればいい。「隴西天水の人也」といえば済む。しかし惜しいかな、その姓がはなはだ信用が出来ないので、....
曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
うち次第に顔色が蒼ざめた京山は、もはや口を听《き》く元気もなくなって、遂に道端の天水桶の下へ屈んでしまったのだった。 回礼は中途で止めにして、京山はそのまま家....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
にある甕の水を汲んで、小坂部に飲ませてくれた。その水は天主閣の軒から筧を引いて、天水を呼ぶのであると教えた。彼が何かの合図をすると、一羽の梟がどこからか舞って来....
勘平の死」より 著者:岡本綺堂
の地面にも、金物類が沢山に積んである。上のかたには土蔵の白壁がみえて、鉄の大きい天水桶もある。軒には和泉屋と染めた紺暖簾がかかっている。下のかたには町家がつづい....
遁走」より 著者:葛西善蔵
」 「……」 「……君はひどく酔払っていたから分らないだろうがね、あの洲崎で君が天水桶へ踏みこんで濡鼠になった晩さ、……途中水道橋で乗替えの時だよ、僕はあそこの....