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天涯
「天涯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
天涯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
祖母の手に育てられたが、中学校三年生の時にたった一人の肉親のその祖母もなくなり、
天涯孤独となった身は放浪生活に馴染み易く、どこへ勤めても尻が落ちつかず、いまだに....
「世相」より 著者:織田作之助
た私は、親戚の家を居候して歩いたり下宿やアパートを転々と変えたりして来たためか、
天涯孤独の身が放浪に馴染み易く、毎夜の大阪の盛り場歩きもふと放浪者じみていたので....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
れるも、これ倶に屍体にあやつられる浮船である。私が企てた復仇を待つまでもなく今|
天涯にのがれ出でた相良十吉であったが、風間真人の執念は未だにくつることなく彼の人....
「蠅男」より 著者:海野十三
た糸子の父、玉屋総一郎。彼女にはもう父もなく、母とはずっと昔に死に別れ、今は全く
天涯の孤児とはなってしまった。麗人の後姿に見える深窶れに、だれか涙を催さない者が....
「海底大陸」より 著者:海野十三
う大量の移民が、人類に知れずにそう簡単に出来るわけのものではない。そういうものが
天涯からくれば、気象観測の上にも異常数値が報告されるはずである。すくなくとも、つ....
「地球盗難」より 著者:海野十三
るのかしら……」 元来が放胆をもって知られている佐々砲弾だったけれど、涯しない
天涯に放りだされては、心細くならないではいられなかった。 「……何か操縦装置みた....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
。ついに大日輪|黄帝は闇と地の邪神|祝融に打ち勝った。その巨人は死苦のあまり頭を
天涯に打ちつけ、硬玉の青天を粉砕した。星はその場所を失い、月は夜の寂寞たる天空を....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
て恩愛の絆は断たれ、僅に能勢弁護士、木藤大尉の厚き同情があるとは云え、孤立無援、
天涯孤客となった。而も自分は捕われの身である。彼は生きながらの呪いの魔となるより....
「脳の中の麗人」より 著者:海野十三
いうアパートに入った。 彼は、親には早く死にわかれ、兄弟もなければ妻子もなく、
天涯孤独の身の上だった。財産だけは、親譲りで相当のものが残されていた。毎月の末に....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
とたちまち歩き去った。 五十七 我が手働かず、足動かず、目はただ
天涯の一方に、白き花に埋もれたお雪を見るばかり。片手をもって抱き得るような、細い....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
何と、一軒家の門を離れた、峠の絶頂、馬場の真中、背後へ海のような蒼空を取廻して、
天涯に衝立めいた医王山の巓を背負い、颯と一幅、障子を立てた白い夕靄から半身を顕わ....
「電報」より 著者:織田作之助
隊長であった人の遺児であるからそう名づけたのであろう。父中隊長の戦死後その少年が
天涯孤独になったのを三人が引き取って共同で育てているのだ。 三人は毎朝里村千代....
「西航日録」より 著者:井上円了
途上詩作一、二あり。 紅海書懐 紅海尽頭風月幽、亜山埃水入吟眸、客身已在
天涯外、遮莫家郷憶遠游。 (紅海の懐いを書す 紅海の尽きるあたり、風も月もほの....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
要す。いやしくもこの気慨あるものは、自国を遊園とし、海外を工場とし、よろしく遠く
天涯万里に向かって雄飛活躍せざるべからず。国運発展の道も、けだしここにあらんと信....
「四つの都」より 著者:織田作之助
死して、あたし一人ぽっちになったでしょう、それでもって私のこと心配して、あなたは
天涯孤独だからといって、慰めたり励ましたりして下さるんだけど……。あの人の顔見る....