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天衣
「天衣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
天衣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
《おやいし》。機未だ熟さず。出る杭《くい》うたれる。寝ていて転ぶうれいなし。無縫
天衣。桃李《とうり》言わざれども。絶望。豚に真珠。一朝、事あらば。ことあげせぬ国....
「インドラの網」より 著者:宮沢賢治
され冷《つめ》たいまるめろの匂《にお》いが浮動《ふどう》するばかりだ。だからあの
天衣《てんい》の紐《ひも》も波《なみ》立たずまた鉛直《えんちょく》に垂《た》れな....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
ランの句にしては、うますぎるよ。きゃつ、盗みやがったな。」すでにここに到っては、
天衣無縫とでもいうより他は無い。「こんど、おれは、あの句を出すんだ。」 「慰安放....
「もの思う葦」より 著者:太宰治
でも傷をつけないように。きょう以後「人工の美」という言葉をこそ使うがよい。いかに
天衣なりといえども、無縫ならば汚くて見られぬ。 附言する。かかる全き放心の後に....
「画室の言葉」より 著者:藤島武二
見られず、すこしの渋滞を止めないに至って初めて言い得ることであって、これこそ即ち
天衣無縫の境地であるに外ならない。苦心は誰でもするが、その苦心がすっかり醇化され....
「大和路・信濃路」より 著者:堀辰雄
仏といっても、ここいらにはざらにある脆《もろ》い焼石、――顔も鼻のあたりが欠け、
天衣《てんね》などもすっかり磨滅し、そのうえ苔がほとんど半身を被《おお》ってしま....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
もよく知られているものに「河内山」がある。明治十四年三月の新富座初演で、名題は「
天衣紛上野初花」と云うことになっているが、黙阿弥は明治七年十月の河原崎座で「雲上....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
てもそろそろ油の乗ろうとしている、危げのない芸の持主でした。ビングは、才気煥溌、
天衣無縫の性情、おおいに珍重すべき中老嬢ですが、その容姿に至っては、甚だ香しくな....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
我流の一流をあみ出して、型に捉えられぬ関西将棋の中でも最も型破りの「坂田将棋」は
天衣無縫の棋風として一世を風靡し、一時は大阪名人と自称したが、晩年は不遇であった....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
た、と言うと、読者は直ちに化生のものと想わるるに相違ない。 ――風俗は移った。
天衣、瓔珞のおん装でなくても、かかる場面へ、だしぬけの振袖は、狐の花嫁よりも、人....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
わたしはこの種の草双紙で「松栄千代田神徳」「日本晴伊賀仇討」「茶臼山凱歌陣立」「
天衣紛上野初花」「古代形新染浴衣」そのほかにも幾種を読んだが、小説体に書かれたこ....
「浅瀬に洗う女」より 著者:マクラウドフィオナ
れ罪びとの罪を洗う ロックリンの人トオカル、なが赤き罪を投げすてよ、 わが洗える
天衣を与えむ おそれ驚いてトオカルは首を下げた。彼は再びうたった。 おお衣....
「明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
優なれど、東京にても評判好かりき。初代中村鴈治郎の父なり。 ○四月、新富座にて「
天衣紛上野初花」を上演。河竹新七がその旧作を改訂せるものにて、団十郎の河内山、菊....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
りました。ところがたった一人の茶人、利休にはその欠点を見付けることが出来ません。
天衣無縫と言おうか、鳥道|蹤なしと言おうか、まるで引っかかりがありません。ただす....
「寺田先生の追憶」より 著者:中谷宇吉郎
だけに駆《か》られて、実験に打ち込んでいた。そういう意味で先生の研究指導ぶりは、
天衣無縫《てんいむほう》の域に達していたと言えよう。 或る日こんなことがあった....