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天衣無縫
「天衣無縫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
天衣無縫の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少女地獄」より 著者:夢野久作
事であった。 ところでここまでは誠に上出来であった。この辺で止めて置けば万事が
天衣無縫《てんいむほう》で、彼女の正体も暴露されず、私の病院も依然としてマスコッ....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
ランの句にしては、うますぎるよ。きゃつ、盗みやがったな。」すでにここに到っては、
天衣無縫とでもいうより他は無い。「こんど、おれは、あの句を出すんだ。」 「慰安放....
「画室の言葉」より 著者:藤島武二
見られず、すこしの渋滞を止めないに至って初めて言い得ることであって、これこそ即ち
天衣無縫の境地であるに外ならない。苦心は誰でもするが、その苦心がすっかり醇化され....
「道標」より 著者:宮本百合子
かなかいいところがある。ヨーロッパへ出てきての第一声が、あら、白いパン! てのは
天衣無縫だ」
「だって、ほんとにそうじゃない?」
「だからさ、
天衣無縫なのさ」
....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
てもそろそろ油の乗ろうとしている、危げのない芸の持主でした。ビングは、才気煥溌、
天衣無縫の性情、おおいに珍重すべき中老嬢ですが、その容姿に至っては、甚だ香しくな....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
我流の一流をあみ出して、型に捉えられぬ関西将棋の中でも最も型破りの「坂田将棋」は
天衣無縫の棋風として一世を風靡し、一時は大阪名人と自称したが、晩年は不遇であった....
「恐怖の季節」より 著者:三好十郎
そして、そんなものが成り立ってほしくないからである。もちろん、そうなれば、彼の「
天衣無縫」さは彼から失われるだろう。それは惜しい。一つの宝物を失うように惜しい。....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
りました。ところがたった一人の茶人、利休にはその欠点を見付けることが出来ません。
天衣無縫と言おうか、鳥道|蹤なしと言おうか、まるで引っかかりがありません。ただす....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
どはない。ないから私小説も生じ、“創作”ともよばれるのであろう。殊に古典の大作は
天衣無縫でなんらの規矩に囚われているふうがない。中華の雄大な古典など特にそうだと....
「寺田先生の追憶」より 著者:中谷宇吉郎
だけに駆《か》られて、実験に打ち込んでいた。そういう意味で先生の研究指導ぶりは、
天衣無縫《てんいむほう》の域に達していたと言えよう。 或る日こんなことがあった....
「小説のタネ」より 著者:吉川英治
うものは、島国に生れた作家の小ッさい空想などとはてんでケタが違うんだな。まったく
天衣無縫ですよ。 けれど、あの「西遊記」も、今日読んでみると、おもしろいのは、....