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天険
「天険〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
天険の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
みると、オイソレと逃げる訳にも参らず、とうとう牛に曳かれて八溝山《やみぞやま》の
天険を踰《こ》え、九尾の狐の化けた那須野《なすの》ヶ|原《はら》まで、テクテクお....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
・ラハード》から流れてきたのです。私は、あの大氷嶺のなかの天母人の文化、魔境の、
天険のなかにも桃源境があると思うと、思わず、われ行かんユートピアへと叫んだのです....
「名君忠之」より 著者:夢野久作
公儀の目安(方針)らしい。尤も島津は太閤様以来|栄螺の蓋を固めて、指一本指させぬ
天険に隠れておるけに、徳川も諦めておろう。……されば九州で危いのはまず黒田と細川....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
。 |悪魔の尿溜――。 と三人は眩くような亢奮に我を忘れた。陥没と、大湿林の
天険がいかなる探検隊もよせつけぬといわれる、この大秘境の墻の端まできたのだ。と思....
「田原坂合戦」より 著者:菊池寛
、篠原は田原方面を、村田及熊本隊は木留方面に陣した。野出、太田尾、三ノ嶽、耳取の
天険は遙かに田原、山鹿に連絡して、長蛇の横わる如き堅陣は、容易に破り難く見えた。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
たこんな一説もあります。幕府は駒井の人物を見抜いてワザと甲府へ納めるのだ、甲府は
天険であって、まんいち徳川幕府がグラつき出す時は、そこが唯一の根城となる、まんい....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ってこの広瀬川を断ち切りさえすれば、後ろは山続きで奥がわからない、そこで城だけが
天険無双の構えとなって独立自給のできる仕掛になっている――見かけから言っても、実....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
よいよ甲府城を乗っ取るの時機が熟したという者がある。 さて、甲府を定めて後は、
天険《てんけん》によって四方を攻略すること、武田信玄の如くあらねばならぬというも....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が現われたようなものです。 察するところ、例の南条力と五十嵐甲子男とは、甲州の
天険をほぼ究《きわ》めつくしたから、今度は小田原を中心として、箱根、伊豆の要害を....
「鴉片を喫む美少年」より 著者:国枝史郎
た。 いろいろの噂が伝わった。鎮江は揚子江の咽喉で、地勢は雄勝で且つ奇絶、頗る
天険に富んでいる。そこへ清軍の精鋭が集まり、死守しているのでさすがの英軍も、陥落....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
ていた。 どうして? といえば。 最初にそれへ気がついたのが三位卿で、ここの
天険に軍船の配置をする場合のため、克明に鳴門一帯を測量した時、水陣図のおぼえ書に....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
が切られた。 相互、敵陣をみても、すぐには合戦とならなかった。 何しろ笠置の
天険だ。不気味な、さぐり合いの対峙が二、三日つづく。 昼は、鳥の音も絶え、夜と....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
から自身否定し去っていた。籠城はただ頑愚なほどの辛抱にあるとおもう。ここの地勢は
天険なのだが、妄想はそれに不安を感じさせてくる。そしてややもすれば、みずから破れ....