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天頂
「天頂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
天頂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
微温《ぬく》もった曙《あけぼの》が押し拡がろうとしている。星は一つ一つ、東空から
天頂にかけて消え行ったが、それが三つになったとき、ふと妙な迷信的な考えに襲われた....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
だから構わないようなものの、かれ帆村なるものは、商売が私立探偵ではないか。帽子の
天頂から靴の裏底まで、およそリアリズムであるべきだった。しかるに今夜、彼はそれ等....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ビラは、次第に大きさを加え、鮮血で描いたような○○が、二百万の市民を、悉く緊張の
天頂へ、攫いあげた。ラジオの高声器は臨時ニュースまた臨時ニュースで、早朝から真夜....
「蠅男」より 著者:海野十三
かった。 中はガランとしていた。 ただ一人、あまり上手ではない浪花節を、頭の
天頂からでるような声でうたっている客があるきりだった。 「――※わざとよろめき立....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
観たアルプスの妖魔の色! 私は、くたびれを忘れて、躍り上って悦んだ、その光りは
天頂の方へと段々高くなって、最後に燐寸を擦ったように、パッと照り返した、森はもう....
「小浅間」より 著者:寺田寅彦
学士が天文の観測をするためにもう十数日来テントを張って滞在している。バンベルヒの
天頂儀をすえ付けて
天頂近く子午線を通過する星を観測してこの地点の緯度をできるだけ....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
六号」と題名がうってある。課長は大湯呑を左手に移し、右手の太い指を延ばして帳簿の
天頂《てっぺん》から長くはみ出している仕切紙をたよりにして帳簿のまん中ほどをぽん....
「火薬船」より 著者:海野十三
こうやって見まわすと、この船の乗組員たちは、どういうものかそろいもそろって、頭の
天頂の附近に二銭銅貨大の禿――禿ではない、毛が生えそろわなくてみじかいのだ、それ....
「雷」より 著者:海野十三
がつけたんだが……あの雷避けの恰好が可笑しいかネ」 それは背の高い杉の二本柱の
天頂に、まるで水牛の角を真直にのばしたような、ひどく長くて不恰好な銅の針がニュー....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
ちょっと、当世ビルジングの御前様に対して、こういっては相済まないけども。……熟と
天頂の方を見ていますとね、さあ、……五階かしら、屋の棟に近い窓に、女の姿が見えま....
「震災日記より」より 著者:寺田寅彦
雨 月蝕雨で見えず。夕方珍しい電光 Rocket lightning が西から
天頂へかけての空に見えた。丁度紙テープを投げるように西から東へ延びて行くのであっ....
「小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
んでいる事は織女牽牛が宵のうちに真上に来ているのでも知られた。そして新星はかなり
天頂に近く白鳥座の一番大きな二等星と光を争うほどに輝きまたたいているのであった。....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
て闇を見つめていても、妙に夜という漆闇の感じがないのである。というのは、そのおり
天頂を振りあおぐと、色も形もない、透きとおった片雲のようなものが見出されるであろ....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
は、天上から見た地球の話ですが、太陽の蔭になった方には円錐形の影が出来て、それが
天頂に達すると夜半。そこと六時との間が、ほぼ九時になると云うのです。つまり、童話....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
く、海面白波をあぐ。満船の清風、人をして夏を忘れしむ。正午太陽を望むに、ほとんど
天頂にあるがごとし。暮天一鉤の新月を望むところ、大いに雅趣あり。終日片雲なきも、....