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天風
「天風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
天風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「火の鳥」より 著者:太宰治
つの石の段々を、ひい、ふう、みい、と小声でかぞえながら降りていって、谷間の底の野
天風呂にたどりつき、提燈を下に置いたら、すぐ傍を滔々《とうとう》と流れている谷川....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
顧寥廓《しこりょうかく》として、ただ山水と明月とあるのみ。※戻《りょうれい》たる
天風《てんぷう》はおもむろに馭者の毛布《ケット》を飄《ひるがえ》せり。 「実はあ....
「河明り」より 著者:岡本かの子
きますわ」 と云ったきり、私たちから離れて、すっかり事務所の男達の中に混り、野
天風呂も沸せば、応接用の室を片付けて、私たち女二人のための寝室も作った。 「森は....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
しの青い葉が夕風にほの白くみだれているのを見て、わたしは日露戦争の当時、満洲で野
天風呂を浴びたことを思い出した。海城、遼陽その他の城内にシナ人の湯屋があるが、城....
「姥捨」より 著者:太宰治
傘をさし、夜なら提燈かはだか蝋燭もって、したの谷川まで降りていって川原の小さい野
天風呂にひたらなければならなかった。老夫婦ふたりきりで子供もなかったようだし、そ....
「創生記」より 著者:太宰治
て来たのである。三日、のたうち廻り、今朝快晴、苦痛全く去って、日の光まぶしく、野
天風呂にひたって、谷底の四、五の民屋見おろし、このたび杉山平助氏、ただちに拙稿を....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
株を繞ぐって起った、白峰の雪は白い、その雪解の水を吸って育った、石楠花の白花は、
天風に芳香を散じて、深林の中に孤座している、西の国のアルプスの人たちが、石楠花を....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
をば政宗領の者も提供すべき筋合であるが、前に挙げた如く人民は蒲生勢を酷遇した。寒
天風雪の時に当って宿を仮さなかったり敷物を仮さなかったり、薪や諸道具を供すること....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
泉宿に泊まる。ここにも山の湯の宿屋の光景について精細の描写がある。温泉は河原の野
天風呂で、蛇が這い込んで温まっているのを発見して、驚いて飛びあがる。その夜は相宿....
「わが精神の周囲」より 著者:坂口安吾
を訪ねた時の酔余のよろこびはこれである。音無川で水浴したのも私が最初。裏の畑の野
天風呂で晩秋に夕陽をあびて一風呂あびたのも私がはじまりだ。 私がたのしみにして....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
た。 彼は小屋を立てるよりも、谷川の水をひいてくるのに苦心したと語っていた。露
天風呂があって、そこへ常に谷川の水が流れてくるように上流から林の中を曲りくねって....
「ばけものばなし」より 著者:岸田劉生
なトゲトゲはないが短かい角はある。髪はザン切りにしていた。それがひどく汚れた印袢
天風のものを着て、汚れたひもを帯の代りに締めている。胸が少しはだけているがその皮....
「風呂を買うまで」より 著者:岡本綺堂
しの青い葉が夕風にほの白くみだれているのを見て、わたしは日露戦争の当時、満洲で野
天風呂を浴びたことを思い出した。海城・遼陽その他の城内には支那人の湯屋があるが、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
山のごとき間を航進す。船の傾動はなはだしきために、一切の余興を廃することとなる。
天風捲句試題此光景、乱山堆裏一船奔。 (上空からの風は海をまきあげ天地をもゆり動....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
は早くも南から東の遠い地平線上に奇怪な姿を顕わして、乱れた蜘蛛の糸のように其巓を
天風に吹き散らされているものもある。近い後立山山脈はこの背景の前に藍色が一層鮮か....