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太刀先
「太刀先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
太刀先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
、侮蔑《ぶべつ》、恐怖、――そう云う感情の高低《こうてい》は徒《いたずら》に彼の
太刀先《たちさき》を鈍《にぶ》らせる役に立つばかりだった。伝吉は浄観を睨《にら》....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
の盗人たちも、しばらくは胆《きも》を奪われたのでございましょう。御胸に迫っていた
太刀先さえ、この時はもう自然と、車の外の月明りへ引かれていたと申しますから。
「....
「恩を返す話」より 著者:菊池寛
その十字架に不思議な力が籠っているように思って、一種の魅力をさえ感じた。甚兵衛の
太刀先を相手が避けて、飛び退《すざ》ったはずみに、二人の位置が東西になったと思う....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
義をいい立てられて切りつけられた時、あり合せた燭台を、早速の獲物として主人の鋭い
太刀先を避けていた。が、五十に近いとはいえ、まだ筋骨のたくましい主人が畳みかけて....
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
、太刀を構えていたのであるが、相手にそれと知られては、いよいよ思い乱れて、手練の
太刀先さえ、かすかに震えてくるのであった。 「天野氏、拙者が代る!」いら立った山....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
られなかった。傷が古いために色こそ褪せていたが、右の口元から顎にかけて、かすった
太刀先がありありと残っている。 「おのれ!」 彼は、口元まで、そんな言葉が出か....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
けた。しかし優婆塞は起きなかった。 「エイ」と三度目の掛け声と共に颯と切り下した
太刀先が優婆塞の肩へ触れようとした時、忽然宙で支えられた。 「不思議だな。俺には....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
前へ出た。 次第に後退《あとじ》さる集五郎、いわゆる気勢に圧せられ、ともすると
太刀先が上がろうとする。上がったが最後、「突き」が来る。そこで押し静め、押し静め....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ぞんざいになり、一旦云い出したとなると、真正面から遠慮会釈もなく、切り込む新子の
太刀先を、あしらいかねて、圭子はタジタジとなったが、すぐ立ち直ると出鱈目な受太刀....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
を延ばすと一揮した。月光の射さない木影の中、そこへ全身は隠していた。が、一揮した
太刀先だけは、月光の中へ出たと見える。ピカリと燐のように閃めいたが、閃めいた時に....
「怪しの者」より 著者:国枝史郎
かけたからで。 職人風の男は倒れました。でもそれは斬られて倒れたのではなくて、
太刀先を避けて倒れたのです。 「汝!」 と西条勘右衛門様は――そう、編笠が取れ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
自身の冷静な心が、掻き立てられてしまったらしい。喚きながらグッグッと詰めて行く。
太刀先がしだいに顫えを加えて細かく細かく日の光を刻む。襟が開けて胸もとがのぞいて....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
くばかり、手には金剛杖を持っていた。 「生意気な山伏|奴。さあ小机源八郎の闇夜の
太刀先を受けて見ろっ」 「いくらでも受けるが、俺の姿が見えるかっ」と山伏は嘲笑っ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
この無法な敵を引き受けて闘った。こちらが比較的小人数であるだけに、かえって必死の
太刀先きが鋭いので、権右衛門はあやうく斬りまくられそうになって、目当ての姫や采女....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
助の横川覚範にかえって薙ぎ立てられる形で、大鎧をきて重い兜をかぶって奮闘する彼の
太刀先や足どりがとかくにみだれがちであるのを、私ははらはらしながら見物していた。....