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「太腹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

太腹の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
た。船頭は「うん」と舳に気合を入れた。舟は砕けるほどの勢いに、波を呑《の》む岩の太腹に潜《もぐ》り込む。横たえた竿は取り直されて、肩より高く両の手が揚《あ》がる....
自転車日記」より 著者:夏目漱石
たら身体はもう落ちておった、落方が少々まずかったので、落る時左の手でしたたか馬の太腹を叩《たた》いて、からくも四這《よつばい》の不体裁を免《まぬ》がれた、やれう....
薤露行」より 著者:夏目漱石
はたと行き合う。「忌まわしき冠よ」と女は受けとりながらいう。「さらば」と男は馬の太腹をける。白き兜《かぶと》と挿毛《さしげ》のさと靡《なび》くあとに、残るは漠々....
幻影の盾」より 著者:夏目漱石
《さいりん》の如く秋の日を射返す。「飛ばせ」とシーワルドが踵《かかと》を半ば馬の太腹に蹴込む。二人の頭《かしら》の上に長く挿《さ》したる真白な毛が烈《はげ》しく....
夢十夜」より 著者:夏目漱石
た。鞍《くら》もない鐙《あぶみ》もない裸馬《はだかうま》であった。長く白い足で、太腹《ふとばら》を蹴《け》ると、馬はいっさんに駆《か》け出した。誰かが篝りを継《....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
は一切の汚穢を捨てず、之を摂取し、之を利用する。神程|吝嗇爺は無い。而して神程|太腹の爺も無い。彼に於ては、一切の不潔は、生命を造る原料である。所謂不垢不浄、「....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
ちその人を目がけしなり。かくて様子を見るに中将はいわゆる喜怒容易に色にあらわれぬ太腹の人なれば、何と思わるるかはちと測り難けれど、奥様の気には確かに入りたり。二....
猿面冠者」より 著者:太宰治
その書留を受けとったとき、やはり父の底意地のわるさを憎んだ。叱るなら叱るでいい、太腹らしく黙って送って寄こしたのが気にくわなかった。十二月のおわり、「鶴」は菊半....
シベリヤに近く」より 著者:里村欣三
て並べ立てながら 「は」 と、答えておいて、あ、は、は、は、はッと酒肥りのした太腹を破ってふき出した。 「隊長殿。これ以上には何んとも」 彼は恐縮したように....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
咬まれるくらいなら、私はお誓さんの薙刀に掛けられますよ。かすり疵も負わないから、太腹らしく太平楽をいうのではないんだが、怒りも怨みもしやしません。気やすく、落着....
黒百合」より 著者:泉鏡花
は孤児同様。親が居ないと侮って、ちょいと小遣でもある徒は、除物にして苛めるのを、太腹の勝気でものともせず、愚図々々いうと、まわらぬ舌で、自分が仰向いて見るほどの....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
、その大島屋の身代八分は、その人の働きだったと言う。体量も二十一貫ずッしりとした太腹で、女長兵衛と称えられた。――末娘で可愛いお桂ちゃんに、小遣の出振りが面白い....
三国志」より 著者:吉川英治
栄の兵だった。徒歩立ちで隠れていたのである。一人がいきなり槍をもって、曹操の馬の太腹を突いた。 馬は高くいなないて、竿立ちに狂い、曹操は大地へはね落された。 ....