太郎冠者[語句情報] » 太郎冠者

「太郎冠者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

太郎冠者の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
るか。」とか何とか云うと、「へえ」と答えながらもう一人、黒い紗で顔を隠した人が、太郎冠者《たろうかじゃ》のような人形を持って、左の三色緞子の中から、出て来た。こ....
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
《いみょう》である。昨日《きのう》の午《ひる》襖越《ふすまごし》に聞いていると、太郎冠者《たろうかじゃ》がどうのこうのと長い評議の末、そこんところでやるまいぞ、....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
いけない。あれは子供の時こそ愛嬌もありますが、髭の生えた口から、まかり出でたるは太郎冠者も見る人が冷汗をかきますよ。お母さんだけが膝をすすめて、うまい、なんてほ....
私たちの建設」より 著者:宮本百合子
ている。狂言の行中には、いつも少し魯鈍でお人よしな殿と、頓智と狡さと精力に満ちた太郎冠者と、相当やきもちの強い、時には腕力をも揮う殿の妻君とが現われて、短い、簡....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
たり。 舞台なりし装束を脱替えたるあり、まだなるあり、烏帽子直垂着けたるもの、太郎冠者まで、七八人ぞ立ならべる。 「どうしたの、どうしたの。」 と赤き小提灯....
丹下左膳」より 著者:林不忘
ヤいって帰ってくる。 じっと左膳の顔を見つめていたお藤、低声《こごえ》に、 「太郎冠者《たろうかじゃ》、あるか。おん前《まえ》に……」 洒落《しゃれ》たやつ....
文学のふるさと」より 著者:坂口安吾
。 もう一つ、違った例を引きましょう。 これは「狂言」のひとつですが、大名が太郎冠者を供につれて寺|詣でを致します。突然大名が寺の屋根の鬼瓦を見て泣きだして....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ご相伴をなされ」こういって首を前へ伸ばした。 が、この部屋には嘉門のほかには、太郎冠者どころか次郎冠者どころか、誰一人としていないのであった。 誰も一....
茶番に寄せて」より 著者:坂口安吾
にして僕の笑いの精神を表わすようなものを探せば、「浜松の音は、ざざんざあ」という太郎冠者がくすねた酒に酔っぱらい、おきまりに唄いだすはやしの文句でも引くことにし....
式部小路」より 著者:泉鏡花
の事はない、もみじ狩の前シテという処ですが、島田の姉さんだから、女大名。 私は太郎冠者というやつ、腰に瓢があれば一さし御舞い候え、といいたい処でがしたが、例の....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
知らず……」 と、杯を返す手からもうこの古武士は、わざと酔いを誇張して酩酊した太郎冠者のように細い皺首を振りうごかした。 「……ゆ、ゆるされいお館。へ、平常の....