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「太鼓腹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

太鼓腹の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
。肋骨の肉が落ち窪み、四肢が透明な琥珀色に痩せ枯れた白痴の佳人は、直径二尺に余る太鼓腹を抱えて、今にもそれが、ぴくぴく脈打ち出しそうだった。 然し法水は、それ....
霊感!」より 著者:夢野久作
出て来る気はいがした。ドクトルは顔を上げた。夕食前の閑つぶしに読んでいた小説を、太鼓腹の上に伏せて、片手で美事な禿げ頭をツルリと撫で上げながら、大きな欠伸を一つ....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
くりかえって、高い船腹をすれずれに落ちて行った。彼は身体一杯酒臭かった。 赤い太鼓腹を巾広く浮かばしている汽船や、積荷最中らしく海の中から片袖をグイと引張られ....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
見たまま受け取ろうともしなかった。革張りの巨大な椅子をギューギュー鳴らしながら、太鼓腹を突き出して反りかえりつつ、小さな眼をパチクリさせただけであった。 「何だ....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
、それから鞄の蓋をしめたのであるが、ぎゅうぎゅうに詰まっているので蓋は外に向って太鼓腹《たいこばら》のように膨《ふく》らんだ。そのあとで彼、酒田は意外なことを発....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
小僧です。」 と、甘谷という横肥り、でぶでぶと脊の低い、ばらりと髪を長くした、太鼓腹に角帯を巻いて、前掛の真田をちょきんと結んだ、これも医学の落第生。追って大....
原爆詩集」より 著者:峠三吉
の町のあたりも 焼けうつり 兵器廠の床の糞尿のうえに のがれ横たわった女学生らの太鼓腹の、片眼つぶれの、半身あかむけの、丸坊主の 誰がたれとも分らぬ一群の上に朝....
幻の彼方」より 著者:豊島与志雄
膨れ上った腹の幻が、それは妊娠の腹でも腹膜炎の腹でもなく、ただ怪しく張り切ってる太鼓腹が、頭の底に浮び上ってきた。 「大丈夫でございますよ。」 竜子はややあっ....
春の幻」より 著者:豊島与志雄
っている。気を失った牝蝦蟇は、なお背中に一二の牡からしがみつかれたまま、臍のない太鼓腹を上にして、ぽかりと水面に浮んでくる。 そういう自然に取巻かれて、蜜蜂の....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
》められた。彼は手にランプをもって、階段の入口に現われ、庭に降りてきた。背の低い太鼓腹の老人で、灰色の大きな頭と赤い髯《ひげ》とをもち、顔や手には赤痣《あかあざ....
投手殺人事件」より 著者:坂口安吾
たことを、ぬかしよる」 大声で叱りつけたが、神経が細くては出来ない撮影所勤め、太鼓腹をゆすって、案外平然たるものだ。しかし、頭に閃いたことがあるから、二人を部....
朱絃舎浜子」より 著者:長谷川時雨
服装と、被《かぶ》りものであるが、今日のように平服のときは、便々《べんべん》たる太鼓腹の下の方に、裾《すそ》の広がらない無地の木綿《もめん》のような袴をつけてい....
アッタレーア・プリンケプス」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
「いやあ、あんたの言われることには、ほとほと驚き入りますなあ、お隣りさん」と、太鼓腹のサボテンが申しました、「毎日あんなにどっさり水を掛けてもらっている癖に、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
も」 と、黒地に蔦つなぎを白抜きした狩衣はその背を初めて客と対等にして、でんと太鼓腹の恰幅を向けてみせた。 「おもてなしとは、つまり主人高氏に代り、何なと、お....