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「失意〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

失意の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
戸という、彼の腹心ともいう二世の青年がいたのである。折竹が、それに気付いたときの失意のさまといったら、剛毅《ごうき》な彼とはとうてい思えなかったほどだ。木戸は飛....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ような気になった。臆病に慚愧心が起こって、世間へ出るのが厭で堪らぬ。省作の胸中は失意も憂愁もないのだけれど、周囲からやみ雲にそれがあるように取り扱われて、何とな....
自叙伝」より 著者:大杉栄
どの勢いだったそうだが、十年ばかり前に失敗してアメリカへ行った。そして今でもまだ失意の境遇にいるらしい。箱田は朝鮮で検事か判事かをやっている。 僕はまた、壱岐....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
向って追及されねばならなかった。が、その解答を求めた検事の顔には、痛々しいまでの失意が現われた。 「すると、鐘鳴器室の風精が、あの倍音演奏とどんな関係があるのだ....
共軛回転弾」より 著者:海野十三
ふふん」 金博士は、妙な咳払いをつづけさまにして、部屋の中を動きまわっている。失意か、得意か、さっぱり分らない。チーア卿が開け放しにしていった大金庫の前を幾度....
火葬国風景」より 著者:海野十三
は八十助の方に揚がった。八十助と露子とが恋の美酒に酔って薔薇色の新家庭を営む頃、失意のドン底に昼といわず夜といわず喘ぎつづけていた鼠谷仙四郎は何処へともなく姿を....
くろがね天狗」より 著者:海野十三
ののようなむくつけき猪武者にお妙を取られた形とあって、センチメンタル派の半之丞は失意と憤懣やるせなく、遂に一夜、どこともなく屋敷を出ていったのであった。 お妙....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
に自分で自分の腕を引張った。 「あッ痛ッ。――あああ、どうしよう」 女は大きな失意にぶつかったらしく、ガバと地面に泣き崩れた。と、思うと電気にかかったようにヒ....
獄中消息」より 著者:大杉栄
の手を尽して看護なり何なり努めてくれ。ただ横田のかわりに僕は寒村を得た。彼は目今失意の境にある。よく慰めてやってくれ。 きのうの面会の時には、足下が何となく元....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
と我が命を断たしめるのは、いかなる深刻な懊悩、いかなる精神的苦痛、傍目には知れぬ失意、劇しい苦悶がその動機となっての結果であろうか? こうした場合に世間ではよく....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
妹ノ方ノ件ト二ツノ急要ガアルタメデス、オユルシ下サイ 五日正午 緑雨の失意の悶々がこの冷静を粧った手紙の文面にもありあり現われておる。それから以後は全....
遁走」より 著者:葛西善蔵
なかったのだ。 私の席の下の方に、知らない人たちの間に挟まって、今さらのように失意な淋しい気持で、坐っていた。やがて佐々木は、発起人を代表して、皆なの拍手に迎....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
兵の蛮勇が彼にはあまりに苛烈だったわけで、なんの成果をあげることもできず、結局、失意の人として絶望のうちに死んだ。 息子のロバアトは一五六七年に生まれた。七歳....
彼等流浪す」より 著者:小川未明
り他には、分る筈がなかったのである。 それが、また、正しいのであった。流浪者が失意に泣くのは、深く人間を悟った時である。人間はみないろ/\の形に於て、悩み苦し....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
当たる。すなわち、人生の短さやその脆さや、制限された諸力や、冷淡な自然や、病気や失意や、当外れやに。――われわれはベートーヴェンにおいてわれわれの敗北とわれわれ....