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夾雑
「夾雑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
夾雑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「道徳の観念」より 著者:戸坂潤
らなかった筈だ。従ってヘーゲルの法の哲学による道徳理論は、実はまだ充分倫理学的な
夾雑物から自由になっていない。之は倫理学と社会科学とが月足らずの双生児として癒着....
「科学論」より 著者:戸坂潤
はその経験的な事実の考証に基くという実証的な建前から、或るものは意識的に哲学的な
夾雑物を斥けようとするのであるが(「本来あった通り」を記述する――L・ランケ、又....
「辞典」より 著者:戸坂潤
物論的弁証法なのである。 唯物弁証法的論理は、単にヘーゲルの弁証法を観念論的な
夾雑物から純化したに過ぎないと云ってもいいかも知れない。だが結果に於てはヘーゲル....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
的錯覚に過ぎないということです。では、一体何が、本能の処理に、これほどたくさんの
夾雑物を投げ込んで、近代人を惑わしているかと言うと、ここでも、資本主義の天才的狡....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
本物語は謂わば家庭的に行われたる霊界通信の一にして、そこには些の誇張も
夾雑物もないものである。が、其の性質上記の如きところより、之を発表せんとするに当....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
の独占物ではない。むろん何れの教義にも真理の種子はある。が、何れの教義にも誤謬の
夾雑物がある。人間がいかなる状況の下に、いかなる信仰形式を採ることになったか、そ....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
さしくそれは医師であった。その声を聞くと私は嬉しかったが、それでもその嬉しさには
夾雑物がないではなかった。私は自分の不従順なこそこそした行為を思い出してどぎまぎ....
「性格批判の問題」より 著者:豊島与志雄
その人物の運命を暗示し、やがて運命と合致する。性格というものを広義に解釈し、なお
夾雑物を除去すれば、性格を描くことによって運命を描くとも云い得る。これは芸術の至....
「「草野心平詩集」解説」より 著者:豊島与志雄
に新らしい悠久さを失わない。 それらを観取するのは、詩人の眼であり、眼の映像を
夾雑物なく鮮明に浮き出させるのは、詩人の表現である。――ここでは、心平さんはすっ....
「地震雑感」より 著者:寺田寅彦
ものがある。それが皺曲や断層やまた地下熔岩の迸出によって生じた脈状あるいは塊状の
夾雑物によって複雑な構造物を形成している。その構造の如何なる部分に如何なる移動が....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
のことであり、問い方も厳しくはあったけれど、しかし頼母の声や態度の中には、不純な
夾雑物が入っていて、ひどく厭らしさを感じさせるのであった。 「ご家老様」とお八重....
「自分と詩との関係」より 著者:高村光太郎
詩を書いているのだからである。自分の彫刻を純粋であらしめるため、彫刻に他の分子の
夾雑して来るのを防ぐため、彫刻を文学から独立せしめるために、詩を書くのである。私....
「仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
いて泣きつづけた。 だが、その快よい悲歎の泪を、ときどきチクリと止める何物かが
夾雑していることに、喜助は気付かないわけにゆかなかった。それは何といいあらわすべ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
も邪魔だ。
我等の霊の受けた、最も美しきものの周囲にも、
約束したように無用の
夾雑物が来て引っ著く。
この世界の善なるものに到達してから前途を見れば、
一層善....
「三稜鏡」より 著者:佐左木俊郎
一週間の間を、寝食を忘れるようにして自分の途を迷っているのであった。ここに何等の
夾雑物的な感情が無ければ、彼が外科医としての希望を断念して了うことは、当然のこと....