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「奇し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

奇しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
宇宙女囚第一号」より 著者:海野十三
、その窓をのぞいてみた。 そのなかに見た刹那の光景! ああ、これほど世の中に奇しき見世物があるであろうか。僕ははっと息をのんだまま、その場に硬直してしまった....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
から、静かに響いて来た。 涙をソッと押さえてJOAKのスタディオに弾ずるのは、奇しい運命の下に活躍した紅子だった。僅か一旬のうちに、弦三と素六の兄弟と、優しい....
三人の双生児」より 著者:海野十三
あの子だ」 それは確かに、妾の記憶にある懐しい幼馴染の顔だった。実になんという奇しき対面であろう。色こそ褪せて居るけれど、彼の長く伸びた頭髪は、可愛いカンカン....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
から相手にしなかった。それから彼は、片眼鏡でも欲しそうな鑑賞的な態度になって、物奇しそうな視線を立ち並ぶ古代時計に馳せはじめた。 それには、カルデアのロッサス....
故郷を想う」より 著者:金史良
たし方々から花種も取寄せているということだった。その上この文を草している今日は又奇しくも母が愈々掘り返しをはじめましたと云って来た。それがどれ位の出来栄えか、今....
栃の実」より 著者:泉鏡花
えた、むすび髪の色白な若い娘は、唯見ると活けるその熊の背に、片膝して腰を掛けた、奇しき山媛の風情があった。 袖も靡く。……山嵐|颯として、白い雲は、その黒髪の....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
鷺色の椿がある。 叫んで、走りかかると、瓶の区劃に躓いて倒れた手に、はっと留南奇して、ひやひやと、氷のごとく触ったのは、まさしく面影を、垂れた腕にのせながら土....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
候もいかが、相頼まれ申候ことづてのみ、いずれ仏菩薩の思召す処にはこれあるまじく、奇しく厳しき明神の嚮導指示のもとに、化鳥の類の所為にもやと存じ候―― 西明寺 ....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
忘れない。南海霊山の岩殿寺、奥の御堂の裏山に、一処咲満ちて、春たけなわな白光に、奇しき薫の漲った紫の菫の中に、白い山兎の飛ぶのを視つつ、病中の人を念じたのを、こ....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
えて、或は十畳、二十畳、五畳、三畳、真砂の床に絶えては連なる、平らな岩の、天地の奇しき手に、鉄槌のあとの見ゆるあり、削りかけの鑪の目の立ったるあり。鑿の歯形を印....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
の文句をいまだにおぼえています。 「既報“人生紙芝居”の相手役秋山八郎君の居所が奇しくも本紙記事が機縁となって判明した。四年前――昭和六年八月十日の夜、中之島公....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
は、はっきりと二つの異様な色彩によって区分されていた。 と云うのは、まことに物奇しい対象であるが、夫人と娘の朝枝以外の者は、七人の墺太利人と四人の盲人だったか....
或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
しきわたしの浄土があるのだ。人の世の果敢無さ、久遠の涅槃、その架け橋に、わたしは奇しくも憩い度い……さあ、もう何も言わないでね。だいぶ暗くなったから、燈でもつけ....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
証言いかんの一つにかかっているではないか。そしてウォルシンガムは死んだ人である。奇しくもまたひにくなことである。セシルをしてついにロオペの弁護を諦めさせた右の事....
赤い船」より 著者:小川未明
ました。 露子の目には、それらの楽器は黙っているのですが、ひとつひとつ、いい、奇しい妙な、音色をたてて、震えているように見えたのであります。そして、晩方など、....