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「奇巌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

奇巌の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
国師《こくし》の墳墓がある。山門の前を流るる渓流は、その水清きこと水晶のごとく、奇巌《きがん》怪石の間を縫うて水流の末はここから三里半ばかり、黒羽の町はずれを通....
海賊と遍路」より 著者:黒島伝治
陥落し残った土地だから土台は岩石である。その岩が雨に洗い出されて山のいただきには奇巌がいたるところに露出している。寒霞渓の巌と紅葉については、土地の者の私たちよ....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
もので、もとより浴客《よっきゃく》などはないのだから、温泉とはいっても、沢の底の奇巌のあいだに噴き出るに任せ、溢《あふ》るるままに、ちょうど入浴《はい》りごろの....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、九十九里は全く別世界のような気がしますね、大東《だいとう》の岬《みさき》以来、奇巌怪石というはおろか、ほとんど岩らしいものは見えないではありませんか、平沙渺漠....
黒百合」より 著者:泉鏡花
の上へ、蔽い被さって斜に出ている。裾を蹈んで頭を叩けば、ただこの一座山のごとき大奇巌は月界に飛ばんず形。繁れる雑種の喬木は、梢を揃えて件の巌の裾を包んで、滝は音....
赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
章で書き記してある。 「門ヲ入レバ内庭ニシテ、四辺闃寂人影無シ、中央ニ大池アリ。奇巌怪石岸ニ聳チ、一切前景ヲ遮ルアリ、両人即チ池ヲ巡リ、更ニ森林ノ奥ニ迷フ。忽然....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
はいえ、むしろ岩室と呼ぶほうが似つかわしいであろう。それとも、教坊の陰気臭さが、奇巌珍石に奥まられた、岩狭の闇がそれであろうか。岩をくり抜いて作った、幾つかの部....
秋の筑波山」より 著者:大町桂月
体よりの下り路に、北斗石、紫雲石、高天原、側面大黒石、背面大黒石、出船入船などの奇巌、峯上に突起す。就中女体峯頭が最も高く、且つ眺望最もすぐれたれど、この日は濃....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
だ」 広芝の縁をまわって木賊山の裾のほうへ入って行くと、そこには見上げるような奇巌怪壁が聳えたって二丈あまりの滝が岩にかかり、流れは林や竹藪の間をゆるゆるとう....
奇巌」より 著者:菊池寛
にだんだん細くなっている有様は、ちょうど大怪物の牙のようである。ああ針の形をした奇巌城はついに発見された。 太陽がちょうど海に沈もうとしている。ボートルレは喜....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
れば一行の外、温泉の若主人塩谷忠氏、画家吉積長春氏加わりて、層雲峡を溯る。峰上に奇巌多し。巨巌の上部に小巌立ちて、あたかも人の子供を負えるが如きもあり。人の立て....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
称し、自然の大画幅に対するの観あり。実に天地の一大パノラマなり。四面の連山はみな奇巌骨立、幾層なるを知らず。その岩陰は、ことごとく残雪をもって封鎖せらる。しかし....
日本のこころ」より 著者:中谷宇吉郎
鋪装《ほそう》道路をはずれると、暗黒の密林、あるいは熱砂の沙漠《さばく》、または奇巌《きがん》の岩原である。道なき荒野や密林を、何哩と歩き廻り、草の上に寝たり、....