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奇癖
「奇癖〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奇癖の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「モルグ街の殺人事件」より 著者:佐々木直次郎
が、私の友の気まぐれな好み(というよりほかに何と言えよう?)であった。そしてこの
奇癖《ビザルリー》にも、他のすべての彼の癖と同様に、私はいつの間にか陥って、まっ....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
それを見られることをひどく恐れていました――。更に又、夜中にヨットへ乗る深谷氏の
奇癖。そして、むっつりした邪険な、それでいてひどく海には執心のあった妙な生活。白....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
がしがちである。一般の西洋人は、茶の湯を見て、東洋の珍奇、稚気をなしている千百の
奇癖のまたの例に過ぎないと思って、袖の下で笑っているであろう。西洋人は、日本が平....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
は何もかも、打算して振舞って居る分別がまざまざ見えすいて来た。この女は大川氏の猟
奇癖に知ってか或いは知らずにかいつの間にか乗って仕舞って、その表皮がいつか奇矯に....
「斜陽」より 著者:太宰治
。 「お風邪じゃございませんの?」 「いや、いや、さにあらず。実はね、これは僕の
奇癖でね、お酒の酔いが飽和点に達すると、たちまちこんな工合のくしゃみが出るんです....
「鬼涙村」より 著者:牧野信一
だった彼の名前を思わず呼んでしまったと気づいた。彼は自分の姓名を非常に嫌うという
奇癖の持主で、うっかりその名を呼ばれると時と場所の差別もなく真赤になって、あわや....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
踪してから、絶えざる不安|懊悩《おうのう》におびえつづけていながらも、いつもの好
奇癖で、闇太郎が、何か売り込みものを持って来たと取ると、すぐに、もう内容が見たく....
「バルザックに対する評価」より 著者:宮本百合子
ことが出来、しかも奇抜な形をとった思想をしか認容しない。」「バルザックが、その怪
奇癖と、衒学趣味と晦冥で誇張的なその文体とで、以上にのべた近代人の趣味が要求する....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ったのだ。 それは、こうして毎晩「夜の波止場」に張り込んでた僕へ、僕の熱心な好
奇癖を燃焼させるに足る一現象が run in したからだ。 Eh? What?....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
、この男が一風変わった、むしろ奇人に近い人物だということである。しかし、偏屈とか
奇癖とかいうものは、個々の特殊性を統一して、全般的な乱雑さのうちに、ある普遍的な....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
れを諒解することが出来ない。私はこの日誌の初めの方にそれを挙げたと思うが、船長の
奇癖のうちに、彼はけっして他人を自分の部屋へ入れないことがある。現に今もなおそれ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
甚だ不行儀で、そのくせ、必要な客との応対などは尻込みをして姿を隠すなど、なかなか
奇癖のある人物で、私とはどうも性が合いかねました。 まず右のような行きさつで、....
「艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
同が参考人としてみんな呼び出されたという騒ぎもあった。この老芸人にはさらにさらに
奇癖があって常に手淫を好み、ために妻女をも離別したほどの常習者だったが、一夜彼以....
「「黒死館殺人事件」著者之序」より 著者:小栗虫太郎
得たか――と云うことである。勿論、主題はゲーテの「ファウスト」であるが、大体私の
奇癖として、なにか一つでも視覚的な情景があると、書き出しや結末が、労せずに泛んで....
「葛飾土産」より 著者:永井荷風
くものか、その道筋を見きわめたい心になっていた。 これは子供の時から覚え初めた
奇癖である。何処《どこ》ということなく、道を歩いてふと小流《こなが》れに会えば、....