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奈落の底
「奈落の底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奈落の底の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
殿の屋形から遠ざけ、さてその上で悪魔調伏の秘法を行ない、とこしえに禍いの種を八万
奈落の底に封じ籠めてしまわねばならぬ。その折柄《おりから》にお身がうかうかと再び....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
でも、煎じて飲ませたい」 世評は、成功者を九天の上に祭り上げると共に、失敗者を
奈落の底へまで突き落さねば止まなかった。 幸太郎兄弟が帰参してから十日ばかり経....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
めなおさなければならなくなった瞬間に、船はひとあおりあおって、物すごい不動から、
奈落の底までもとすさまじい勢いで波の背をすべり下った。同時に耳に余る大きな音を立....
「地軸作戦」より 著者:海野十三
ぐ爆発の時刻が来るな”と感じたその刹那、博士は釦を押した。すると博士は椅子ごと、
奈落の底へガラガラと落ちていった。しかも博士の身体が通り抜けた後には、どんでんが....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
く引上げてやって頂かねば、見る中にも砂一粒ずつ地の下へ崩れてお米は貴方、旦那様。
奈落の底までも落ちて参りますような様子なのでございます。その上意地悪く、鼻めが沢....
「正義の国と人生」より 著者:桐生悠々
うした努力があってこそ、人生に意義もあり、価値もある。 この道を通って行けば、
奈落の底に落ちるということに気注いたならば、道を転ぜねばならない。転ずることがで....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
洪水の急を報ずる乱調の湿った太鼓、人の叫声などがひとしきりひとしきり聞えるのを、
奈落の底で聞くような思いをしながら、理学士は恐しい夢を見た。 こはいかに! 乾....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
いのだった。漸くに気を取直して、博士が私に宛てられた唯一の遺書を読むと、私は忽ち
奈落の底に突落されたような絶望を感じた。私は直ぐにも博士夫妻の後を追って、この世....
「俊寛」より 著者:倉田百三
だった。わしは力の限り抵抗したけれども、彼の欲望に征服されてしまった。彼の欲望は
奈落の底に根を持っているように強かった。 成経 この上聞くのは恐ろしい。しかしわ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
釈の矢軍に射すくめられて、阿修羅の眷属はことごとく亡び尽した。しかもその魂は八万
奈落の底に沈んで、ひそかに末法の代の来たるを待っているうちに、まず唐土の世が乱れ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
る。もし、この便りをさえ失った後は、全く忘却の中に悪魔や鬼神の擒となり、無際限の
奈落の底に引きずり込まれて行っても、それを何によって感覚したらよいであろうか。自....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
上げる。
まあ、どんな穹窿を爆破したり、
どんな深い穴や、どんな長い坑道の奥を、
奈落の底の近所まで、宝のありかを
知った人は這入ったりしなくてはならないでしょう....
「葉と幹」より 著者:小川未明
また、ある年の夏には、大雨に根を洗われて、もうすこしのことで、この地盤が崩れて、
奈落の底に落ちるかと心配したこともある。いま、おまえがたが、踊ったり、跳ねたり、....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
あっては私の救われる道はありません。公高のおかげで築きかけた地位は忽ち崩れ、私は
奈落の底に突き落されてしまうのでしょう、そればかりでなく、大切な大切な藤原家の血....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
寝ている間、身もこゝろもいためつゞけた。わけもなくかれは、寂しく、味気なかった。
奈落の底へでも落ちたように心細かった。どこを向いても、くらがりの、光りというもの....