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奔る
「奔る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奔るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十二支考」より 著者:南方熊楠
の子を※《お》きてまた猟夫を追う。また子一つを落すを拾い巣に伴い帰りてまた拾いに
奔る。かかる間に猟師余すところの虎の子供を全うして船に乗る。母虎浜に立ちて望み見....
「運命」より 著者:幸田露伴
城中も亦兵を出して、内外|交攻む。景隆支うる能わずして遁れ、諸軍も亦|粮を棄てゝ
奔る。燕の諸将|是に於て頓首して王の神算及ぶ可からずと賀す。王|曰く、偶中のみ、....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
かった。此時彼女の魂はとく信州にあったのである。彼女の前夫が死んで、彼女が信州に
奔る時、彼女の懐には少からぬ金があった。実家の母が瞋ったので、彼女は甲府まで帰っ....
「弟子」より 著者:中島敦
戴かしめた。大勢は既に動かし難い。自分(欒寧)は今から現衛侯を奉《ほう》じて魯に
奔るところだ。後《あと》はよろしく頼む。」という口上である。 いよいよ来たな、....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
る。その後曹操が十歳で※水《しょうすい》に浴して蛟を撃ち退け、後人が大蛇に逢うて
奔るを見て、われ蛟に撃たれて懼れざるに彼は蛇を見て畏ると笑うた。また晋の周処|少....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
アルプスに、対面して、零落の壮大、そのものが、この万年の墳墓を中心にして今虚空を
奔る。 空々寂々の境で、山という山の気分が、富士山に向いて、集中して来る、谷か....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
咲く八ツ橋と、月の武蔵野ほどに趣が激変して、浦には白帆の鴎が舞い、沖を黒煙の竜が
奔る。 これだけでも眩くばかりなるに、蹈む足許は、岩のその剣の刃を渡るよう。取....
「汪士秀」より 著者:田中貢太郎
の面に出て来た。それは深い闊い井戸のようなものであった。それと共に四方の湖の水が
奔るように流れだして、ごうごうという響がおこったが、俄にそれが噴きあがるように湧....
「明日」より 著者:井上紅梅
寂の中に落ち、ただこの暗夜が明日に成り変ることを想わせるが、この静寂の中にもなお
奔る波がある。別に幾つかの犬がある。これも暗闇に躱れてオーオーと啼く。 (一九二〇年六月)....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
にあって人生問題に悩み、神経衰弱になり、現実性の薄い恋愛をし、美濃の馬翁のもとへ
奔る時分には、その煙さえ全く絶えてしまっていた。あの巨大な土の堆積も頂から細いな....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
流、左腋はオリムポスの山だ。最大の
版図が、水の砂に吸われるように滅びた。
王は
奔る。公民は凱歌を奏する。頭を挙げて
御覧。直傍に月の光を浴びて
永遠の祠が立っ....
「妻」より 著者:神西清
はじけ、肥の滲みた堅い雪のかけらが道から跳ね飛んで、ぴしりと私の顔を打った。ひた
奔る馬は余勢を駆って、上りも下りに劣らぬ疾さで駈けあがる。で私は、トロイカがもう....
「三国志」より 著者:吉川英治
極力、節約を計っていますが、このぶんでゆくと、今に乱暴を始め出して、民家へ掠奪に
奔るかもしれません。さすれば将軍の兵馬は、たちまち土匪と変じます。昨日の義軍の総....
「三国志」より 著者:吉川英治
そして目ざした敵へ寄るかと見るまに、李暹を一刀のもとに斬り落し、李別が驚いて逃げ
奔るのを、 「待てっ」 と、うしろから追いつかみ、その首をふッつとねじ切って静....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
、とことんまで、人間を自堕落と不安の底に追い陥し、時をまって、西国の仲間のうちへ
奔る予定でいたのである。 はしなくも、かれは、自分のかけたワナに懸って炎の中で....