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奔流
「奔流〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奔流の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
興奮絶頂に達し猛然たる勇気は四肢の節々に振動した。二頭の乳牛を両腕の下に引据え、
奔流を蹴破って目的地に進んだ。かくのごとく二回三回数時間の後全く乳牛の避難を終え....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
髣髴させる。 黒雲を劈いて天の一角から一角に流れて行く電光の姿はまた私に本能の
奔流の力強さと鋭さを考えさせる。力ある弧状を描いて走るその電光のここかしこに本流....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
こされた。再び和らかい春風はその枝の間に戯れた。峡谷をおどりながら下ってゆく若い
奔流は、つぼみの花に向かって笑った。たちまち聞こえるのは夢のごとき、数知れぬ夏の....
「河明り」より 著者:岡本かの子
葺きの家も、椰子林の中の足高の小屋も、樹を切り倒している馬来人の一群も、総て緑の
奔流に取り込められ、その飛沫のように風が皮膚に痛い。大きな歯朶や密竹で装われてい....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
ットの壁の厚さと材料と、その構造についてであった。宇宙レンズで、強力なる宇宙線の
奔流をこのロケットにあびせかけたとき、どうなるかをひそかに診察しているわけだった....
「未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
いる怪物は、目の下半メートルもあろうという大鯉《おおごい》だった。 天井から、
奔流《ほんりゅう》する水は、ものすごく、まるで天竜川《てんりゅうがわ》のようであ....
「不周山」より 著者:井上紅梅
る。 風と火の勢で、彼女の頭髪は捲き込まれ、四方に乱れて囘転し、汗は滝のように
奔流し、火焔は彼女の体を照らし、宇宙の間に最後の肉紅色を現わした。 火の柱は漸....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
た。 長い間! ……しかし……次の瞬間……ドドドドッという足音が響いた。 11
奔流のように突き進む要介! 追われて後へ退く多四郎! ドドドドッという二人の....
「宝塚生い立ちの記」より 著者:小林一三
近い地点にあって、美しい六甲の峰つづきである譲葉嶽の山麓に位して、生瀬の渓谷から
奔流して来る武庫川の早瀬にそうた、すこぶる風光明媚な景勝の地であるので、新温泉場....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
わらないのだ。休むことを知らないアメリカのほかのところでは、移住民や種々な改善が
奔流のようにぞくぞく流れこみ、絶えず変化しているが、その大きな急流もこの渓谷には....
「ローマ法王と外交」より 著者:国枝史郎
、醜穢をきわめていたものの、手に十字架を握り驢馬にまたがり、一度口をひらくや熱弁
奔流の如くにほとばしり聞く者をして涙を流させ切歯扼腕させた。上は王侯から下は一般....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
衛が、纔に温まった懐をおさえて、九州の青年の多くが、その青雲を志し成功を夢みて、
奔流する水道を、白波たつ波頭を蹴散らし蹴散らし、いささかのセンチを目に浮べて、悲....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
に連ねたかのごとくに見えて居ります。だんだん山間の溪流に沿うて降って行きますと、
奔流の岩に激して流るるその飛沫が足もとに打付けるという実に愉快なる光景であります....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
と立ち上がった。 そして、と、叫んだ。続いて、息もつがず、毒々しいラティン語の
奔流を、轟くばかりに浴びせ始めた。叱責と、怒罵と、苛烈な揶揄とが、驚嘆すべき流暢....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
見当もつかない。私は緊張した重苦しい気持で架橋の説明を聞きながら、滝津瀬をなして
奔流する河の中に横たわった大岩を見詰めたまま、斯様な際にいつも長次郎から聞く「な....