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「奔馬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

奔馬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
たる乗り合いは、座に堪《たま》らずしてほとんど転《まろ》び墜《お》ちなんとせり。奔馬《ほんば》は中《ちゅう》を駈《か》けて、見る見る腕車を乗っ越したり。御者はや....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ないのに、君たちはしいてもそれらに君たちを考えさせようとした。 舷を乗り越して奔馬のような波頭がつぎつぎにすり抜けて行く。それに腰まで浸しながら、君たちは船の....
振動魔」より 著者:海野十三
ラ振動をはじめたと錯覚をおこした。灼けつくような高熱が、全身から噴きだした。 「奔馬性結核!」 彼は床の上に転倒しながら、ハッキリ彼自身の急変を云いあてたのだ....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
は途中で手綱を掴んだらしいのですが、きょうは容易に取鎮めることが出来ず、狂い立つ奔馬に引きずられて吹雪のなかを転んだり起きたりして駈けてゆく。ほかの馬飼も捨松に....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
して行くのであった。 だが、はたして故郷の人々は、彼を歓迎するだろうか? 彼は奔馬性癩患であった。「神聖な病気」の持ち主であった。 神聖とは「二つ無い」謂い....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
命じた白木の板が運ばれたのを見すますと、たっぷり筆に墨を含ませて書きも書いたり、奔馬空を行くがごとき達筆で、墨痕淋漓と自ら退屈男の書きしたためたのは実に次のごと....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、血をながして、しきりに無罪を泣き叫びながら、引っ返して逃げてゆく。その疾きこと奔馬の如くであるのを、また追いかけて打ち据えると、かれらは足を傷つけられてさんざ....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
だよ、阪井を出せ、どろぼうをだせってどなっていたよ」 「ありがとう」 チビ公は奔馬のごとく走りだした。光一も走りだした。 少年読者諸君に一言する。日本の政治....
学生と生活」より 著者:倉田百三
だからこれは恋する力が強いのが悪いのではなく、知性や意力が弱いのがいけないのだ。奔馬のように狂う恋情を鋭い知性や高い意志で抑えねばならぬ。私の場合ではそれほどで....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
ガウライの談話と銘打たれてある。 しかし、読みゆくにつれて、私の手は震え、脈が奔馬のように走り始めた。 なぜなら、同人の見聞談として、最初まず、千島ラショワ....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
動かなくなり、釣竿を腕に支えたまま凝っと戸板の上を見詰めていた。 もはや彼は、奔馬のような脈を感じ、錯覚さえも生じて、蘆も土橋も水も何もかも、キラキラした、陽....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
四十 今までは小さな漣さえなかった碧玉の湖水が白泡を浮かべて奔馬のように狂っている。そして不思議にも湖上の水は巨大な渦巻を形造って湖心を中心....
雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
、裏飛騨へ入って宮川という。高山から飛越国境の蟹寺までの間、二十里ばかり、宮川は奔馬のように急勾配の渓底を駆け下っている。恐ろしいほど荒い川である。この川の、巣....
香魚の讃」より 著者:佐藤垢石
富士山麓の山中湖から源を発して三、四十里、相州の馬入村で太平洋へ注ぐまで、流れは奔馬のように峡谷を走っている。中にも、甲州地内猿橋から上野原まで、また相州地内の....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
波濤の如く起伏し、其奥に越後沢・小穂口・下津川・小沢・三石など利根川西岸の諸山が奔馬の如く南走している。燧岳と平ヶ岳との間には、雪を帯びた越後の駒ヶ岳が全容を露....