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「奥向き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

奥向きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
、よそへ頼むはやっかいだ、ついでに二十五本ばかり大急ぎに染めてくれぬかと、加賀家奥向きから、ご注文がございましたんで、いたずら半分に染めたんでございます」 「な....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
発して来た江戸の方には、家茂公を失った後の上下のものが袖に絞る涙と、ことに江戸城奥向きでの尽きない悲嘆とが、帰東の公儀衆を待っていた。のみならず、あの大きな都会....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
どく上京を躊躇するものとがあった。このことが京都の方に聞こえると、外国人の参内は奥向きではなはだむつかしい、各国公使の御対面なぞはもってのほかであるということで....
縮図」より 著者:徳田秋声
の英傑後藤新平の家であり、目端の利くところから、主人に可愛がられ、十八までそこの奥向きの小間使として働き、やがて馬喰町のある仕舞うた家に片着いたのだった。馬喰町....
」より 著者:徳田秋声
」と、笹村はたまに愛想らしい口を利いた。いろいろの才覚のあるこの老人が、だんだん奥向きのことに係わるようになっていることは、笹村にも頷かれたが、そこの窮屈な家風....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
、此処より源次郎を忍ばせる趣向で、殿様のお泊番の時には此処から忍んで来るのだが、奥向きの切盛は万事妾の國がする事ゆえ、誰も此の様子を知る者は絶えてありません。今....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ありましたが、米友を呼んで入って見ると、それは米友ではなくて、立派な身なりをした奥向きの婦人が、柱に凭《もた》れて泣いておりましたから、きまりを悪そうに、 「ど....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
の藩邸に居られるから、御妾のみが居るので、これは世子の東西に往来せられる際、別に奥向きの役人が引連れて他の女中と共に往来したものである。ついでにいうが、大名のお....
東山時代における一縉紳の生活」より 著者:原勝郎
してのことらしい。しからば女子をばいかに捌《さば》いたかというに、宮中や将軍家の奥向きに奉公するか、または同輩の家へ嫁にやることができれば、さらに不思議のないこ....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ぶしてしまったし、時も丁度|御維新《ごいっしん》の、得意筋の幕府大奥や、諸大名の奥向きというところがなくなったので、祖父も店をやめてしまって、あたしが生まれたこ....
雪の宿り」より 著者:神西清
、東福寺の喝食を致しておりました。ちょうどその時分、やはり俗体のままのお稚児で、奥向きのお給仕を勤めておられた衆のなかに、松王丸という方がございました。わたくし....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
鶴見の継母も相手になる。順番に炉の前で、複雑な手前をする。 継母もさる支藩邸の奥向きを勤めて、手もよく書けば歌道も一通り心得ている。継母はこの女を嫌っていた。....
南国太平記」より 著者:直木三十五
。 「おお、うめえうめえ、頬ぺたが、落ちらあ」 忍泣き 取締りの老女中が、奥向きの部屋部屋――内玄関、勝手、納戸、茶の間、寝室、御居間、書院、湯殿、厠《か....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
きで、磯五が、十七、八の女を膝にのせてたわむれていた。その女は、お美代といって、奥向きの仕事をする女中であった。お美代は、出入りの鳶《とび》の頭《かしら》の口き....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
で広まっていたから、淡島屋の軽焼は江戸一だという評判が益々高くなって、大名高家の奥向きから近郷近在のものまで語り伝えてわざわざ馬喰町まで買いに来た。淡島屋のでな....