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奥床
「奥床〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奥床の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
一
………それは小ぢんまりと出来上った、
奥床しい門構えの家だった。尤《もっと》もこの界隈《かいわい》にはこう云う家も珍し....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
流れへ御放しになった、何羽とも知れない白鷺《しらさぎ》と申し、一つとして若殿様の
奥床しい御思召《おおぼしめ》しのほどが、現れていないものはございません。
そう....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
その人に傲《たかぶ》らない態度が、伝右衛門にとっては、物足りないと同時に、一層の
奥床しさを感じさせたと見えて、今まで内蔵助の方を向いていた彼は、永年京都|勤番《....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
た。
飯のつけようも効々《かいがい》しい女房《にょうぼう》ぶり、しかも何となく
奥床《おくゆか》しい、上品な、高家《こうけ》の風がある。
白痴《あほう》はどん....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と挨拶をしたばかり。その挨拶を受けらるる時の奥方が、端然として針仕事の、気高い、
奥床しい、懐い姿を見るにつけても、お蔦に思較べて、いよいよ後暗さに、あとねだりを....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
だかで、鼻を衝く、鬱陶しい巴の紋も、ここへ来ると、木曾殿の寵愛を思い出させるから
奥床しい。」 と帯を解きかけると、ちゃぶり――という――人が居て湯を使う気勢が....
「春昼」より 著者:泉鏡花
戸に蝶の影さす光景、古き土佐絵の画面に似て、しかも名工の筆意に合い、眩ゆからぬが
奥床しゅう、そぞろに尊く懐しい。 格子の中は暗かった。 戸張を垂れた御廚子の....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
まあ、可え。」 「ちっとも可かあない、」 と訓導は唾をする。 「それにしても、
奥床しい、誰が突いた毬だろう、と若え方問わっしゃるだが。 のっけから見当はつか....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
名じゃ。ああ、羨しい。おお、琴曲教授。や、この町にいたいて、村雨松風の調べ。さて
奥床い事のう。――べ、べ、べ、べッかッこ。」 と、ちょろりと舌を出して横舐を、....
「京のその頃」より 著者:上村松園
続けられてるものは島田と丸髷で、娘さんの文金高島田にお母さんの丸髷は、品があって
奥床しい。....
「無表情の表情」より 著者:上村松園
、典雅なうちに沈んだ光沢があり、それが溢れずに緊張するというところに、思い深い、
奥床しい感激があるのです。 感ずれば激し、思うだけのことを発露するという西洋風....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
かねばならぬ。 その上にいかなればしかするかの理由を説明したら、ますます鴨川の
奥床しい用意のほどが知れるであろう。 紋床でも噂があった、なおこの横町を馬車新....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
にかけて、良き墨薫る手習草紙は、九度山の真田が庵に、緋縅を見るより由緒ありげで、
奥床しく、しおらしい。憎い事、恋の手習するとは知れど、式部の藤より紫濃く、納言の....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ょう。その用意こそ、いわゆる茶道のたしなみであります。 たしなみという言葉には
奥床しさという感じが伴います。 人に知られず、効果に現れずとも、たしなみの深い....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
せん。 K夫人も、鼠色の男も、耳香水もすべて謎として、解かないでおく方が何だか
奥床しい気がするじゃございませんか」....