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「奥底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

奥底の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
象徴だった。……… 信輔はこの貧困を憎んだ。いや、今もなお当時の憎悪は彼の心の奥底に消し難い反響を残している。彼は本を買われなかった。夏期学校へも行かれなかっ....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
。 又 文を作らんとするものは如何なる都会人であるにしても、その魂の奥底には野蛮人を一人持っていなければならぬ。 又 文を作らんとするも....
或る女」より 著者:有島武郎
自分の心をさいなむたびに、葉子は外国人の良心というものを見たく思った。葉子は心の奥底でひそかに芸者《げいしゃ》をうらやみもした。日本で女が女らしく生きているのは....
或る女」より 著者:有島武郎
り人を圧した。顔色一つ変えないで元のままに親しみを込めて相手を見やりながら、胸の奥底の心持ちを伝えて来るその声は、不思議な力を電気のように感じて震えていた。 「....
二つの道」より 著者:有島武郎
に起こらない。その人が死んで倒れるまで、その前には炎々として焔が燃えている。心の奥底には一つの声が歌となるまでに漲《みなぎ》り流れている。すべての疲れたる者はそ....
星座」より 著者:有島武郎
った。 西山がそんなたくらみをしているとは清逸の知らないことだった。清逸は心の奥底ではっと思った。自分の思い立ったことを西山づれに魁《さきが》けされるのは、清....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
とってどれほど喜ばしい事だったろう。と同時にどれほど苦しい事だったろう。私の心の奥底には確かに――すべての人の心の奥底にあるのと同様な――火が燃えてはいたけれど....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
それた高慢が働いていたと云える。 けれども私は小さな声で私にだけ囁きたい。心の奥底では、私はどうかして私を偽善者から更に偽善者に導こうとする誘因を避けたい気持....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
が、広い世界があった、 真空の中に介在する虚無の世界があった。 それでもその中の奥底には生命の微光の耀いはあった。 動いていた最初のものは欲求であった、 それが....
春昼」より 著者:泉鏡花
も知れないけれど、」 「はあ、青大将かね。」 といいながら、大きな口をあけて、奥底もなく長閑な日の舌に染むかと笑いかけた。 「何でもなかあねえだよ。彼処さ東京....
縁結び」より 著者:泉鏡花
入ったものがある。 「やあ、これからまたお出かい。」 と腹の底から出るような、奥底のない声をかけて、番傘を横に開いて、出した顔は見知越。一昨日もちょっと顔を合....
」より 著者:池谷信三郎
ラの発音で、歌詞のない歌のように、彼女の口を漏れてくると、不思議な哀調が彼の心の奥底に触れるのだった。ことに橋を渡って行くあの別離の時に。 ――このマズルカには....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
をきいても、その言葉は極めて平凡普通であった。よんどころない必要に迫られて、心の奥底から無理に引き出すような言葉は、喜怒哀楽とか飢渇とかの本能だけしか現わすこと....
広告」より 著者:伊丹万作
あるから。 しかし私のいだいている概念からいえば、詩というものはひたすら写実の奥底にもぐり込んで、その奥の奥をきわめた時、あたかも蚕が蛾になるように、無意識の....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
聖断を仰がねばならぬ。聖断一度び下らば過去の経緯や凡俗の判断等は超越し、真に心の奥底より聖断に一如し奉るようになるのが我が国体、霊妙の力である。 他の国にてフ....