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奥歯
「奥歯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奥歯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
申していますからぜひですのよ」
葉子がそういっている間、古藤の言葉はしまいまで
奥歯に物のはさまったように重かった。そしてややともすると葉子との会見を拒もうとす....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
ようござんすか。なんでもまともから男らしく……薄っ暗い所で卑怯な真似をしないで」
奥歯に物の挟まった言いようである。自分は次郎左衛門に対して、薄暗い所で卑怯な真似....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
が彼の胸に満ちていながらも、さすがにまだそれを発表する時機ではないと、彼は無理に
奥歯で噛み殺していた。 「さっきもどうなされた。お身さまも何か叱られたか、睨まれ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
しい手に短い延の銀|煙管、何か目出度い薄っぺらな彫のあるのを控えながら、先ず一ツ
奥歯をスッと吸って、寛悠と構えた処は、生命保険の勧誘も出来そうに見えた。 甚だ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
ご飯を食べさせていましたので、つい気がつきませんでして、済みません」 いいつつ
奥歯と頬の間に挟った嚥み残しのものを、口の奥で仕末している。 「ビールを取っとい....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
の話 七月四日、アメリカ合衆国の独立記念日、それとは何の関係もなしに、左の上の
奥歯二枚が俄かに痛み出した。歯の悪いのは年来のことであるが、今度もかなりに痛む。....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
。わっはっは、わっはっは!」 四馬剣尺が腹をかかえて笑っているとき、ギリギリと
奥歯をかみ鳴らした机博士、物凄い形相をしたかと思うと、いきなり四馬剣尺の体を背後....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
懸って来た。 目賀野は電話器を取上げた。彼は簡単な返事をして電話を切った。彼の
奥歯がぎりぎりと鳴っていた。 「臼井、早くしろ。十万円はその書類棚の上に入ってい....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
関係上、もっと恐縮して然るべき筈である。 帰りに池の端から電車へ乗ったら、左の
奥歯が少し痛み出した。舌をやってみると、ぐらぐら動くやつが一本ある。どうも赤木の....
「空襲警報」より 著者:海野十三
ように穏かですね」 「ウン、見懸だけは穏かだなァ……」 国彦中尉は、なんとなく
奥歯に物の挟まったような言いかたをして、妙に黙った。 「見懸は穏かで、本当は穏か....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
も出ようず。ちと懲りさっしゃるが可い。」 「さん候、これに懲りぬ事なし。」 と
奥歯のあたりを膨らまして微笑みながら、両手を懐に、胸を拡く、襖の上なる額を読む。....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
で、榾同然の鰊に、山家|片鄙はお極りの石斑魚の煮浸、衣川で噛しばった武蔵坊弁慶の
奥歯のようなやつをせせりながら、店前で、やた一きめていた処でございましてね。 ....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
存じないんですから。」 この前にもそうでしたが、このじいやの言い振りはなんだか
奥歯に物が挾まっているようで、焦れったくってなりません。殊に今の場合にそんな謎の....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
の裾がすくすく出張って、大きな怪物の土地の神が海の方へ向って、天地に開いた口の、
奥歯へ苗代田麦畠などを、引銜えた形に見えます。谷戸の方は、こう見た処、何んの影も....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
白く抽ん出て現実のものとは思われなかった。慧鶴はすこし夢心地になって思索の筋道を
奥歯できっと噛み押えながら意識をとろりとさせていると、地響きのようなものが聞えて....