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奪い合う
「奪い合う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奪い合うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
た。孫七は今心の眼に、彼の霊魂《アニマ》を見ているのである。彼の霊魂《アニマ》を
奪い合う天使と悪魔とを見ているのである。もしその時足もとのおぎんが泣き伏した顔を....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
逃げて行ってしまった。
それ以来夜毎の酒盛りにも、十六人の女たちが、一生懸命に
奪い合うのは、素戔嗚ではなくて、黒犬であった。彼は酒に中《ひた》りながら、洞穴の....
「兄たち」より 著者:太宰治
さんのとこへ、おいでA叔母さんのとこへ、とわいわい言って小さい姪《めい》ひとりを
奪い合うのですけれど、そんなときには、この兄は、みんなから少し離れて立っていて、....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
し立ては偽りでございます、いいえ、豊太の申し立てはうそでござりますと、互いに罪を
奪い合うのじゃ。それも申し立てがちと奇妙でござってのう、長年、ごめんどううけた主....
「街頭の偽映鏡」より 著者:佐左木俊郎
愛情を結婚に向かって進めることをやめてしまったのであった。親しい友人の間で彼女を
奪い合うというようなことがいやだったからでもあったが、本人の彼女の態度がだれのほ....
「行人」より 著者:夏目漱石
た。
芳江は我々が帰るや否や、すぐお重の手から母と嫂に引渡された。二人は彼女を
奪い合うように抱いたり下《おろ》したりした。自分の平生から不思議に思っていたのは....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
に煩わされることなく愛は奪う。若し愛が相互的に働く場合には、私達は争って互に互を
奪い合う。決して与え合うのではない。その結果、私達は互に何物をも失うことがなく互....
「杉子」より 著者:宮本百合子
好みらしい学生っぽい陽気な大騒ぎをして遊んだ。 伊田も気取らない気質で、大豆を
奪い合う「豚」という遊びの時なんか「おい、駄目だ駄目だ、ひどいよ」と、どら声をあ....
「風に乗って来るコロポックル」より 著者:宮本百合子
に投げ込む。 そして、キャアキャア云いながら、引掻いたり、転《ころが》し合って
奪い合う様子を、例の横目で眺めながら、 「何たら態《ざま》だ! 馬鹿野郎、そんな....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
して人間がすべて慾のかたまりで、親も、兄弟も、親類もなく、結局、持っているものを
奪い合うという浅ましい世の中が、どうなって行くものでしょうかねえ」 「左様……」....
「猫」より 著者:豊島与志雄
いうのが子供たちの始終の苦情だ。そのくせ、寝る時には、各自に自分の布団の中へ猫を
奪い合う。夏休みなど、家族中で旅をするような時、その不在中、猫がとても淋しそうだ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
彼はなんとすればよかったか? 彼らと対抗して、そのわずかな日向《ひなた》の場所を
奪い合うようなことは、さすがになし得なかった……。 それにまた、天才といえども....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
に男子諸君に言う。諸君、よろしく婦人を獲得すべしだ。何ら悔いの念なく互いに恋人を
奪い合うべしだ。恋には友人も存しない。美人ある所には至る所に対抗がはじまる。仮借....
「土地に還る」より 著者:豊島与志雄
の年から翌年へかけて、食糧の窮迫と食糧危機の予想とにより、至る所にある焼け跡は、
奪い合うようにして耕作されました。蟻が巣のまわりに餌をあさり歩くように、焼け残り....
「アッタレーア・プリンケプス」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
とっては窮屈でありました。根という根は互いにまつわりついて、お互いの水気や養分を
奪い合うのでした。木々の枝は、とても大きなしゅろの葉と入りまじって、それを押しひ....