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「奪う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

奪うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
彼に傾く日を、夢のように胸に描いた。自分でなかったなら、たれがこの馬をこの場合、奪う事ができるだろう。向こうには、人の和があった。しかも地の利さえ占めている。も....
河童」より 著者:芥川竜之介
のですよ。第一この間あなたの話したあなたがた人間の義勇隊よりも、――一本の鉄道を奪うために互いに殺し合う義勇隊ですね、――ああいう義勇隊に比べれば、ずっと僕たち....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
けである。実は誰も肚《はら》の底では少しも自由を求めていない。その証拠には人命を奪うことに少しも躊躇《ちゅうちょ》しない無頼漢さえ、金甌無欠《きんおうむけつ》の....
藪の中」より 著者:芥川竜之介
いか、どちらが悪いかわかりません。(皮肉なる微笑) しかし男を殺さずとも、女を奪う事が出来れば、別に不足はない訳です。いや、その時の心もちでは、出来るだけ男を....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
》よろしゅう。あいかわらずお達者で……」 役員は狼狽《ろうばい》して身を正し、奪うがごとくその味噌漉《みそこ》し帽子を脱げり。 「やあこれは! 欣様だったねえ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
云って、袖に抱いた風呂敷包みの紫を、皓歯で噛んだ。この時、この色は、瞼のその朱を奪うて、寂しく白く見えたのである。 「行かん筈はないでしょうが、貴娘、知っていて....
三つの宝」より 著者:芥川竜之介
る)しかしわたしは剣を持っている。(急に王子を睨みながら)あなたはわたしの幸福を奪うものだ。さあ尋常に勝負をしよう。わたしの剣は鉄でも切れる。あなたの首位は何で....
親子」より 著者:有島武郎
を取り出して、最近売買の行なわれた地所の価格を披露しにかかると、矢部はその言葉を奪うようにだいたいの相場を自分のほうから切り出した。彼は昨夜の父と監督との話を聞....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ることが出来ない。私の経験が私に告げるところによれば、愛は与える本能である代りに奪う本能であり、放射するエネルギーである代りに吸引するエネルギーである。 他の....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
られて鳴りひびきぬ。 世は掠奪に生き奪えるものを貪り食らいぬ。 かくて客人の命を奪う宿の主も 舅姑の生命に仇する婿も現われ、 夫に慄く妻、妻に慄く夫も出できぬ。....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
姉上の新たに結びたまわでは、昨日なるは大方|失せて見えずなりぬ。 手届きて人の奪うべくもあらねば、町の外れなる酒屋の庫と観世物小屋の間に住めりと人々の言いあえ....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
第十章 進歩的啓示 問『あなた方の啓示は、却って民衆の心から信仰を奪う結果になりはせぬか……。』 新啓示と一般民衆――汝の疑惑の存するところはよ....
」より 著者:秋田滋
た。 彼女の一挙一動は、わたくしを恍惚とさせました。彼女の声は、わたくしの心を奪うのでした。彼女のからだ全体が、それを見ているわたくしに、限りない悦びを催させ....
取舵」より 著者:泉鏡花
の体度だ、その気力だ、猛将の戦に臨んで馬上に槊を横えたと謂ッたような、凛然として奪うべからざる、いや実にその立派さ、未だに僕は忘れんね。人が難のない事を(眠って....
多神教」より 著者:泉鏡花
仕丁続いて出づ――神職、年四十ばかり、色白く肥えて、鼻下に髯あり。落ちたる鉄槌を奪うと斉しく、お沢の肩を掴む。 神職 これ、婦。 お沢 (声の下に驚き覚め、身を....