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奮
「奮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
奮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カルメン」より 著者:芥川竜之介
るのもかまわずにね、……」
「カルメンのように踊ったのかい?」
そこへ僕等の興
奮とは全然つり合わない顔をした、頭の白い給仕が一人、静に鮭《さけ》の皿を運んで来た。……
(大正十五年四月十日)....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
も彼女には存外苦痛ではないらしかった。しかし彼女は紀州沖へかかると、急になぜか興
奮しはじめ、とうとう海へ身を投げてしまった。日本へ近づけば近づくほど、懐郷病も逆....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
方が、結局両方のためになるだろうと思うが。」
「でございましょうが、そこを一つ御
奮発願いたいので。いかがなものでございましょう。」
市兵衛は、こう言いながら、....
「影」より 著者:芥川竜之介
に響《ひび》いたからであった。
足響《あしおと》はすぐに消えてしまった。が、興
奮した陳の神経には、ほどなく窓をしめる音が、鼓膜《こまく》を刺すように聞えて来た....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
か、素早く幌の下へ身を投じて、車夫が梶棒《かじぼう》を上げる刹那の間も、異様な興
奮に動かされながら、『あいつだ。』と呟《つぶや》かずにはいられませんでした。あい....
「河童」より 著者:芥川竜之介
気《け》にとられましたから、トックにその理由を尋ねようとしました。が、トックも興
奮したとみえ、椅子の上に突っ立ちながら、「クラバック、弾け! 弾け!」とわめきつ....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
は彼を引きずるようにし、粉雪《こなゆき》のふる往来へ出ることにした。しかし何か興
奮した気もちは僕にも全然ない訣《わけ》ではなかった。僕等は腕を組みながら、傘もさ....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
急に相手が憎《にく》くなった。そこで甚太夫がわざと受太刀《うけだち》になった時、
奮然と一本突きを入れた。甚太夫は強く喉《のど》を突かれて、仰向《あおむ》けにそこ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
くゆ》らせていた。
「御新造《ごしんぞ》はどうかしているんですよ。」
いつか興
奮し出したお蓮は、苛立《いらだ》たしい眉《まゆ》をひそめながら、剛情に猶《なお》....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
い勢いである。これに煽動《せんどう》された吉田、原、早水、堀部などは、皆一種の興
奮を感じたように、愈《いよいよ》手ひどく、乱臣賊子を罵殺《ばさつ》しにかかった。....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
むしった。
「僕はお母さんが死んでも悲しくない。」
「嘘つき。」
洋一は少し昂
奮《こうふん》して云った。
「悲しくなかったら、どうかしていらあ。」
「嘘じゃな....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
ぎゅうばだしゅう》、伯楽相馬経《はくらくそうばきょう》等の諸書に従い、彼の脚の興
奮したのはこう言うためだったと確信している。――
当日は烈《はげ》しい黄塵《こ....
「墓」より 著者:秋田滋
、彼女に会いたい、会いたいという思いだけが、一種名状しがたい、深い、云い知れぬ興
奮で、わたくしの心を揺ぶるのでした。自分の掌のなかに彼女の手を把り緊めていると、....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
。今さら学資をスリ取られたとは在所へ言いもやられず、この上は塾僕学僕になりてもと
奮発せしかど、さる口もなく空しくこの家に厄介となり、鼻紙の事まで深沢の世話になる....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
農家へ帰ってゆくのだが、この妖怪が出そうな時刻には、自然界のもの音はみな、彼の興
奮した想像力を刺戟した。丘の斜面から聞えてくるウィッパーウィル(原註)の鳴く声。....